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» 2011年03月04日 11時00分 UPDATE

誠 Weekly Access Top10(2011年2月19日〜2月25日):13票で議員になれる村がある

国政選挙だと有権者数が多いため、自分の1票が当選者を決めるということはなかなかないもの。しかし、地方選挙だと、1票が本当に当落を左右することがあるようだ。

[堀内彰宏,Business Media 誠]

 総務省が2月25日に発表した国勢調査の速報値。5年前より人口が増加したのは、わずか9都府県のみという結果になった。衆議院の300小選挙区ごとの人口を見ると、最少の高知3区は24万1331人で、最多の千葉4区は60万9081人。つまり、「1票の格差」は2.52倍で、10年前の定数是正後の2.06倍から拡大していることになる。

 もちろんこれは人口ベースなので、有権者ベースで計算すると多少数字は変わる。しかし、それでも住んでいる地域による1票の重さの違いが大きいことが分かるだろう。

 しかし、実は日本にはもっと1票の格差が大きい選挙が存在する。それは最小単位の地域代表選挙である、市町村議会選挙である。

 自治体のさまざまなデータをランキングにしているこちらのページによると(参照リンク)、2007年時点で市町村議員1人あたりの住民数が最も少ないのは東京都の青ヶ島村。人口173人に対して議員定数は6人なので、議員1人あたりの住民数は28人となる。

 直感的に「議員多すぎじゃないの?」と思ったのだが、離島であるために合併は難しく、ある程度の議員数がいないと議論もできないので仕方のないことなのだろう。その代わり、議員報酬は議長が月14万円、議員が月10万円とアルバイト代程度に抑えられているようだ。

市町村議員1人あたりの住民数が少ない順ランキング(自治体ランキングを参考に作成)

順位 都道府県 自治体名 人口 議員定数 人口/議員定数
1 東京都 青ケ島村 173人 6人 28人
2 新潟県 粟島浦村 365人 8人 45人
3 東京都 御蔵島村 275人 6人 45人
4 東京都 利島村 289人 6人 48人
5 沖縄県 渡名喜村 433人 8人 54人

 一方、議員1人あたりの住民数が最も多いのは横浜市。人口358万5785人に対して議員定数は92人なので、議員1人あたりの住民数は3万8975人となる。青ヶ島村と横浜市の1票の格差は1391倍と、なんと1000倍を超えることになる。

 もちろん地域によって適正な議員数は異なるだろうし、違う市町村の選挙を一緒に扱っていいのかという話もあるので、これはちょっと暴論だろう。ただ、地域の代表者を出すための最小のハードルが、これだけ違うというのは驚きではないだろうか。

 ちなみに地方自治法第91条では、人口によって市町村議会の議員定数の上限を定めており、青ヶ島村の人口規模だと定数の上限は12人。現状の6人でもかなり削っている方なのである。

市町村議員1人あたりの住民数が多い順ランキング(自治体ランキングを参考に作成)

順位 都道府県 自治体名 人口 議員定数 人口/議員定数
1 神奈川県 横浜市 358万5785人 92人 3万8975人
2 愛知県 名古屋市 216万4640人 75人 2万8861人
3 大阪府 大阪市 251万6543人 89人 2万8275人
4 北海道 札幌市 188万138人 68人 2万7649人
5 福岡県 福岡市 137万5292人 63人 2万1830人

当選ラインは13票

 さて、では青ヶ島村のように1票の価値が高いと、どのような選挙になるのか。2005年の村議会議員選挙の結果を見ると、定数6人に対して7人が立候補して、当選ラインは13票。惜しくも落選した女性も11票獲得している。なかなかの激戦である。一族郎党を引き連れて移住すれば、その票だけで議員を送り込めるかもしれない。

 だが、これだけ1票の価値が高いにもかかわらず、投票率は73.25%とそれほど高くない。議員1人あたりの住民数が2番目に少ない粟島浦村の村議会議員選挙の投票率が99.34%(2007年)と尋常ではない数字になっているのとは対照的である。特に争点がないのかもしれない。

 しかし、これは政治家志望の人にとってはチャンスとも言える。ネットが多少は使えるようになったとはいえ、地方選挙であっても当選しようとすると、かなりの資金が必要となる。

 だが、青ヶ島村ぐらいの人口規模なら、組織を作ったり、選挙カーを用意したりする必要はないだろうから、選挙資金は10万円もかからないのではないだろうか。また、町村議会議員選挙なら供託金も納めなくていい。

 ちきりんさんもブログで書いていたのだが(参照リンク)、若者ならこういう地域で一か八かで勝負してみてもいいと思う。本気で政治に携わりたいと思っている人なら、20人くらい説得するのはたやすいはず。そして、政治家としての実務を学びつつ行い、その経験を武器にして、都道府県議員→衆議院議員とステップアップする手もあるだろう。志はあるがお金や組織がない、という人は検討してみてもいいかもしれない。政治家になるハードルを下げられる、という点で社会的にも意義があるとも言える。

 ちなみに被選挙権は、住民票を移して3カ月経たないと得られない。そのため、今から立候補しようとしても4月の統一地方選挙には間に合わないので、気を付けていただきたい(青ヶ島村の次の議会議員選挙は2013年)。

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