こんな中小企業はオススメしない――6つのポイント吉田典史の時事日想(3/3 ページ)

» 2011年03月04日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]
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3:7の、怖い比率

 上岡氏は、次のポイントを挙げた。

  • (1)社員のテンションが低い会社
  • (2)現状維持をするのが精一杯の会社
  • (3)新商品・新サービスを提供できていない会社

 (1)はその会社に電話を入れたり、オフィスなどに行ってみると分かるという。面接のときに社員の表情などを確認しておくのもいい。「社員の対応がテキパキとしていて、自信を持っているように見えるならばテンションが高いといえる。その場合は役員らの志も高く、社員教育が隅々まで行き届いている可能性が高い」。

 だが、こういう会社は上岡氏がこれまでに見てきた中小企業のうち3割であり、7割は社員のテンションが低いのだそうだ。「こちらは社員たちが“うちの会社はダメだ”とあきらめている。仕事を学ぼうという意欲に乏しく、会社の一員としての意識もプライドも低い」。

 (2)と(3)は、表裏一体のものだ。上岡氏は、会社のWebサイトの「沿革」や「商品」「サービス」のページを見て、長い間、新たな動きがないときは注意したほうがいいと話す。「社員が50人ほどでも、新商品やサービスをマメに提供している会社がある。一方で何年にもわたり、新サービスなどを始めることができていない会社もある。そのようなところはオススメできない。現状維持をするのが一杯で、社員のテンションも低くなっていく」。

 さらに本社や事務所の移転、取引先なども参考になるという。「勢いのある会社は売り上げが多く、社員も増えていく。だから、事務所を新たに借りて引っ越すことがある。一方で後ろ向きの移転、つまり、家賃の安い物件に移ることもある。このように移転の中身に注目したい。勢いのある会社は取引先をWebサイトに載せる場合が多いが、行き詰っている会社は載せない傾向がある。取引先に本格的な大企業がたくさん並んでいるならば、業績はある程度、安定している可能性が高い。ここは、社員のテンションも得てして高い」。

 上岡氏はWebサイトだけで判断するべきではない、とも付け加えた。「個人ではなく、会社を主要な取引先にしている中小企業の中には、Webサイトの更新にあまり力を入れていない場合がある。だから、受験しようとする会社の本社や支社などに出向き、社員のテンションを確認してみるのがいい」。

 いかがだろうか。今回、2人は本音で取材に応じてくれた。コンサルタントの中には、常に会社の側に回り、嘘をついてまで経営者を擁護する人がいる。私は、この人たちを信用しない。その意味で中川氏、上岡氏にお礼申し上げたい。学生に限らず、転職者なども中小企業を選ぶ際の、何らかの参考にしてもらえたらと思う。

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