原油高を嫌気して堅調だが上値も重い清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年03月03日 08時42分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<日経平均>10492.38▼261.65

<TOPIX>942.87▼20.83

<NYダウ>12066.80△8.78

<NASDAQ>2748.07△10.66

<NY為替>81.86△0.02

引き続き経済指標は好調だが反応は鈍く、原油高を嫌気して堅調だが上値も重い

 前日の大幅下落の反動もあって堅調となりました。ただ、中東情勢に変化が見られず、原油高も続いていることが上値も限定的となりました。朝方発表された民間調査の雇用リポートも予想を上回って雇用者数が増加、前月の増加分も若干上昇修正となるなど、景気回復が確認され、かいもどしを急ぐ動きもあったものと思います。ただ、逆に原油の高騰が続きインフレ懸念が強まるなかで景気回復が鮮明になって来たことで金融緩和(QE2)の「出口」を探る動きとなっており、積極的に買い上がる動きも買戻しを急ぐ動きも限られているということなのだと思います。

 中東情勢に変化が見られないなかで底堅いといえるのですが、好調な経済指標も素直に好感することでもなく、金融緩和の終わりが近いという先行きに対する懸念となっているようです。いずれ金融緩和の終わりも考えなければならなかったのでしょうが、原油の高騰で時期が早まったということなのだと思います。この日発表されたベージュブック(地区連銀経済報告)でも景気回復が確認され、特に懸念されていた雇用の改善が顕著であると報じられたことや価格転嫁が報じられたことでインフレ懸念、金融緩和の「出口」懸念となって上値を押さえる要因となったものと思います。

 個別にはコストコ・ホールセールは好調な決算を発表したのですが予想された範囲内と言うこともあり、利益確定売りに押されて軟調となり、ホーム・デポやコカ・コーラ、プロクター・アンド・ギャンブルといった個人消費、消費財関連はベージュブックで価格転嫁が指摘されたこともあり軟調となりました。アップルが多機能携帯端末の新型を発表、ジョブズ氏が会見に出席したことも好感されて買われ、TI(テキサス・インスツルメンツ)やザイリンクスが投資判断の引き上げを受けて大幅高となり、インテルなども反発となるなどハイテク銘柄は総じて堅調となりました。アルコアは軟調となったものの、キャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)もしっかりと反発となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株安を受けて売りが先行、持高調整の売りも嵩んで大幅下落となりました。為替も対米ドルでは動きはなく、「ドルキャリー取引」や「円キャリー取引」の解消、そしてリスクからの逃避の動きが出ていたものと思われます。特に材料のないなかで、ほぼ全面安大きな下げとなりました。外国人は買い越しと伝えられましたが、それ以上に手仕舞い売りが出たと言うことなのだと思います。目先の需給に振らされて指数が下値の節目水準を目指すことになりました。

 米国市場が堅調となったことやユーロが堅調なように為替も落ち着きがたこと、そして昨日の大幅下落の反動から底堅い堅調な展開が期待されます。米国市場でも雇用指標の好転の割りには上値も重く、日本市場でも原料高などを嫌気する動きもあるものと思いますが、売られ過ぎの修正もあるものと思います。資源高メリットのある商社株や非鉄株、米国で堅調となっていた半導体関連銘柄などの戻りが期待されます。

 昨日も持高調整の売りもあって大幅下落となりましたが、かろうじて節目と見られる10500円水準では下げ止まりました。引き続き10500円〜600円水準が下値という見方で良いと思われ、本日は底堅さも見られるものと思います。米国市場も経済指標などの材料に反応し難く、日本市場も目先の持高調整のうり買いに振らされている感じですが、指数は値幅の調整と言うよりは日柄の調整となって、もみ合いのなかで調整していくのだと思います。

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