なぜ「1.2%」がギリギリだと言い切れるのか? それは銀行の収益構造を見れば分かるからです。
銀行がどのようにもうけているかというと、まず顧客からお金を預かります(=銀行にとっては資金調達)。そこに経費率を乗せて、預かったお金を企業に融資したり、個人に住宅や教育のローンとして貸したりしています(=銀行にとっては資金運用)。その「調達(預金)」と「運用(貸出)」の差額が銀行の「利益」になります。
全国120行の経営データによると「収益性」の平均は以下のようになっています(参照リンク:全国銀行協会平成21年度統計)。
(1)運用利回り:1.45%(内訳:貸出1.8%、有価証券0.8%他)
(2)調達利回り:1.20%(内訳:預金・債権0.2%、経費率1.0%他)
(1)-(2)総合利ざや率:0.25%
1.20%のコストでお金を調達して、1.45%で運用しているわけですから、その差額の0.25%が銀行の儲け(利ざや)。結構小さいですよね。
銀行の資金調達コストが1.20%ということは、銀行は預かったお金を1.20%以上で運用できなければ赤字になるということ。現在のように適用金利が1.2%を切っている水準だと、銀行の住宅ローンはすでに赤字。だからもうこれ以上は下がらないだろうと思うのです。
そんなに金利を下げてまで、なぜ銀行は住宅ローンを推進しているのでしょうか? 理由の1つは「お金が余っているから」です。
平成21年度の銀行全体の貸出と運用の合計金額は、以下の通りです。
- 貸出残高:451兆円(法人と個人の合計)
- 預金残高:615兆円(譲渡性預金・債権などを含む)
預かった預金のうち、どれだけ貸出で運用できているか。この割合を「預貸率」(貸出÷預金)といいますが、全国の銀行平均の預貸率は「73%」(=451兆円÷615兆円)。つまり預金の残り約27%は貸出で運用できずに余っている。貸出で運用できない預金の多くは国債など有価証券で運用されているのです。
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