コラム
» 2011年03月02日 08時00分 UPDATE

もはや“オジン”の飲みもの!? 日本酒復活の日は来るか? (1/2)

ハイボールが大ヒットしたおかげで、消費量の凋落にストップをかけられたウイスキー。その一方、減少し続ける日本酒の消費量。どのようにすれば、日本酒を復活させられるのだろうか。

[松尾順,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:松尾順(まつお・じゅん)

早稲田大学商学部卒業、旅行会社の営業(添乗員兼)に始まり、リサーチ会社、シンクタンク、広告会社、ネットベンチャー、システム開発会社などを経験。2001年、(有)シャープマインド設立。現在、「マインドリーディング」というコンセプトの元、マーケティングと心理学の融合に取り組んでいる。また、熊本大学大学院(修士課程)にて、「インストラクショナルデザイン」を研究中。


 お酒について言えば、2010年は「ハイボール(ウイスキー)」の年でした。ハイボールブームが頂点に達したことによって、凋落(ちょうらく)を続けてきたウイスキーの消費量に歯止めがかかりました。最近はわざわざ作らなくても、すぐに飲める「缶入りハイボール」が好調に売れており、今年も引き続きハイボール人気が続きそうです。

 そして、今年の注目株はおそらく「マッコリ」。従来、韓国料理店など限られた場所でしか飲めなかったマッコリですが、2010年、酒販店やネットで気軽に買えるようになったおかげで、消費量が一気に拡大しつつあります。

 マッコリは日本ではある意味、「新しいお酒」ですね。韓国では「男性労働者のお酒」というイメージが強いのですが、日本では、マッコリの名前くらいはみんな知っていても、そこから連想されるイメージが希薄なのを逆手に取り、「女性向けのおしゃれなお酒」というブランドイメージの確立に成功しつつあります。おかげで、女性を取り込みたい居酒屋などでの扱いも増えています。

 しかも、業界大手のサントリーも3月22日に、微炭酸の缶マッコリ「ソウルマッコリ」を掲げてマッコリ市場に本格参入。というわけで、今年、「マッコリブーム」が起きる可能性は非常に高いのではないかと思います。

ah_nau.jpg ソウルマッコリ(出典:サントリー)

 こんな中、相変わらずの消費低迷に苦しんでいるのが日本酒です。

 海外では、和食ブームとともに日本酒も大人気です。日本酒ブームとも呼べる状況であり、日本酒の輸出は過去最高になった模様です。

 しかし、日本国内では完全に“通”のためのお酒。高品質・高価格のプレミアム系日本酒はそれなりに売れているものの、日本酒全体の消費量の減少は悲惨なものがあります。実際、日本酒の国内消費量は、1995年度が126万キロリットル、2008年度は62万キロリットルと半減しています。ここ数年も、引き続き減少しているのは間違いないでしょう。

 さて、きちんと調査をしたわけではないので仮説の領域を出ませんが、日本酒が抱えている問題は、かつてのウイスキーとほぼ同じと考えられます。すなわち、以下の3つの問題点です。

1.飲みにくい(ウイスキーほどでないにしてもアルコール度数高め)

2.食事に合わない(和食には合うが、洋食にはNG)

3.オジンのイメージ

 ウイスキー業界では長年、ウイスキーの品質や味わいを中心に訴求してきました。しかし、それはウイスキーの既存飲用者にとっては当たり前のことであり、一方で、若年層を中心とする非飲用者には響かなかった。このため、プレミアム系のお酒は根強い人気があったものの、ウイスキー市場全体の縮小をくい止めることはできなかったのです。

 しかし、ハイボールは炭酸で割ることによって飲みにくさを解消し、ビールや酎ハイと同様、食事しながらゴクゴク飲めるお酒になりました。また、ハイボール自体は昔からあったものの、近年は「忘れられた存在」だったことが幸いし、オジンくさいというイメージを引きずらなかった。しかも、炭酸で割ることでジョッキ1杯当たりの値段が酎ハイ並みに安くなることも幸いしました。

 ただ、忘れてはいけないのは、今回のハイボールブームの仕掛け人、サントリーでは、ハイボールという若年層にとって新しい飲み方を提案するだけでなく、流通対策、すなわちハイボールの扱い店を増やすという地道なことも並行してやった点です。

 つまり、ハイボールという商品開発だけでなく、価格、プロモーション、流通をも含む、マーケティング全方位的な取り組みを行ったのです。このことが、これまでウイスキーを飲まなかった若年層を中心とする大衆の心をつかみ、全国的なハイボール人気の獲得に成功したと言えます。

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