しかし、今回私が感心させられたのはそういう表面的なことではありません。実はその裏にある経営戦略そのものなのです。アップルの強みは言うまでもなく、その企業ブランド力と製品企画力戦略にあります。
通常であれば、製品企画・開発力に強みがある企業は総じて、製品開発チームに力があり、その後コスト削減やサプライチェーン最適化の追求が追随していくという傾向があります。しかし、アップルの場合はヒットする製品開発力と徹底した原価企画、戦略部品の共通化、サプライチェーン最適化が共存しているのです。
これは結果的にそうなったのではなく、意図的に実現しているものです。つまり、企業の経営戦略そのものがこのような企業全体の最適化を実現していると言えます。
今回の記事を読み、私はそれを再認識しました。取引先に対するCSR監査は企業の風評リスクをマネジメントするために今後ますます重要視されていきます。つまりアップルは彼らのブランド力を強化する(劣化させない)ために、大きなお金をかけてわざわざ1000人を対象にした監査をやっているのです。
これはブランドマネジメント、製品戦略、調達を含むサプライチェーンマネジメントの同期化であり、最適化です。記事の裏側にどのような事実が存在するのか、分かりませんが、もしこれが事実だとすれば、「調達機能が事業モデルのイノベートをリードしている」とも言えるでしょう。まさにイノベーション型調達モデルを実現している米アップルのすごさです。(野町直弘)
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