コラム
» 2011年02月25日 08時00分 UPDATE

吉田典史の時事日想:学生諸君 こんな中小企業には注意せよ (1/2)

「就活がうまくいかない。中小企業へのエントリーを考えている」という学生も多いのでは。そこで中小企業を6つのタイプに分類し、“オススメ先”と“ダメ先”を紹介しよう。

[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)、『いますぐ「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)など。ブログ「吉田典史の編集部」、Twitterアカウント:@katigumi


 就職活動がピークを迎えている。この中で大企業に入れない学生は今後、中小企業にエントリーするのだろう。こうした動きを意識してか、雑誌では有識者が盛んに「今こそ、中小企業へ」といった意味合いのことを書いている。

 その雑誌を担当する知人の編集者によると、「注目を浴びるために仕掛けた企画」なのだという。つまり、あえて奇をてらう内容を掲載しているのだ。それを読むと、書き手は中小企業の実態をほとんど知らない。やはり私は、この手の議論にうさんくささを感じる。例えば、某自治体のトップは「中小企業には可能性がある」と書きながら、ご子息を国内で規模が1、2位を争う報道機関に就職させている。

 今回は、私が取材で感じ取ってきたことをもとに、中小企業を就職先として選ぶ場合の着眼点を書いてみたい。有識者のように「奇をてらう」ものではなく、この20年間で見てきたものをベースに本音で論を進める。私見であることは、あらかじめ断っておきたい。

中小企業を6つのグループに分ける

 まず中小企業の定義を見ていこう。業界により多少の違いはあるが、社員数(この場合は正社員)が300人以下の会社を意味する。それを少なくとも以下のグループに分けたい。

(1)社員数が30人以下で、創業10年以内

(2)社員数が30人以下で、創業10年以上

(3)社員数が30〜150人で、創業が10年以内

(4)社員数が30〜150人で、創業が10年以上

(5)社員数が150人〜300人で、創業が15年以内

(6)社員数が150人〜300人で、創業が15年以上


 (1)と(2)は、社員数が30人以下という点で共通している。この規模は「零細企業」といわれる。例えば、出版社の下請け的な位置付けである「編集プロダクション」や、テレビ局の番組制作を請け負う「制作プロダクション」がある。あるいは、翻訳会社やWebサイトの制作会社などもこのケースが多い。

 私は、新卒の段階で(1)と(2)の会社に入ることをオススメしない。このような会社は、人をゼロの状態から育てることがなかなかできないからだ。また離職率も非常に高い。そこで発想を変えてみるといいかもしれない。例えば、倍率が低い地方のテレビ局(社員数100〜200人ほど、名古屋と関西の局以外は倍率が低い)に入り、5〜10年ほど、番組制作のアシスタントをする。その後、上京し、実績のある「制作プロダクション」でディレクターとして1本立ちしていく。

 どうしてもこの類の会社に行こうとするならば、(1)のほうを選ぶべきである。(1)は(2)に比べて業績がよく、成長していくスピードが早い。この規模の会社は成長することが理屈抜きに大切なのである。(1)の創業経営者は、営業力や技術力という点では優秀なのだろう。社内の役割分担や指揮命令系統は混乱しているかもしれないが、仕事は多いはずだ。

 大量の仕事をこなせば、同世代よりも早く職務遂行能力を高めることができるだろう。そして5〜8年後くらいに転職を考えてみるのはどうだろうか。実際、このような会社に10年も勤務する人を私は見たことがない。30代前半までの職務遂行能力は、こなした仕事の量に大体、比例している。過酷な職場で5〜8年ほど、猛烈に働いたならば自信を持っていい。

 ただし30歳前後に、大企業に転職することは難しい。そこで狙いを変えて、社員数30〜150人規模の会社の「キャリア採用」試験を受けてみる。このクラスの会社は、頻繁に中途採用を行っている。そこで世間並み(とはいっても中小企業の水準)の賃金を得て、最低限度の安定を得つつ、さらに力をつけていくべきだろう。なぜなら「最低限度の安定」がないと、仕事の力を伸ばすことが難しいからだ。

 30人以下の会社に長くいても、賃金は低く、サービス残業が多く、福利厚生も不備である。こういったところで働いても、人生設計のメドはなかなか立たない。私の周りで30代後半以降になっても人生設計ができていない人は、30代前半までにこの手の会社にいたケースがほとんどである。

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