コラム
» 2011年02月25日 08時00分 UPDATE

天下のウォルマートも苦戦するアマゾンの脅威 (1/2)

米国第2位のブックストア・チェーン、ボーダーズが会社更生法による保護を申請。業界第2位でも倒産に追い込まれる市場波乱の背景にはアマゾンの影があるという。そして、天下のウォルマートも無傷ではないようだ。

[石塚しのぶ,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:石塚しのぶ

ダイナ・サーチ、インク代表取締役。1972年南カリフォルニア大学修士課程卒業。米国企業で職歴を積んだ後、1982年にダイナ・サーチ、インクを設立。以来、ロサンゼルスを拠点に、日米間ビジネスのコンサルティング業に従事している。著書に「『顧客』の時代がやってきた!『売れる仕組み』に革命が起きる(インプレス・コミュニケーションズ)」がある。


 世界最大の小売業者、ウォルマートは、2年連続で米国内既存店舗売上が減少し、社史始まって以来の苦境に立たされています。その背景にあるのは、アマゾンというミュータント的競合の存在と、「プライス・リーダー」としての地位の失墜です。

 米国第2位のブックストア・チェーン、ボーダーズが会社更生法による保護申請をしたことは、みなさんご存じでしょうか。

 会社更生法と言うと、聞こえはいいのですが事実上の倒産です。米国のブックストア・チェーンといえば、ボーダーズだけではなく業界トップのバーンズ・アンド・ノーブルも財政難で、2者とも買収を検討したりなどしていますが、どうしても買い手が見つからない。書籍販売という市場がアマゾンに席巻されてしまった今日では、店舗という物理的なコストが大きくなる業態には、みんな怖くて手が出せないというのが現実でしょう。

 業界第2位でも倒産。「恐ろしい世の中になったものだな……」とつぶやいていたら、ふと「どこかで聞いた話だ」とある種の既視感が襲われました。

 思い返せば、電化製品チェーンのサーキット・シティが会社更生法の申請に続き、解体の憂き目を見たのは2年前の2009年初頭のこと。あの時も、私も含め米国流通の研究者たちは、「業界第2位でも倒産するご時世か……」とため息をついたのです。

 当時、サーキット・シティは年商1兆円超の会社。それでも倒産を免れませんでした。「年商1兆円でも安泰ではない……」、解体のニュースに米国の流通業界も大きく揺れました。

 ところで、かつての「業界第2位」であるということのほかに、この2社の共通項は何だか、みなさんお分かりになりますか。

 種を明かせば、2社とも「カテゴリー・キラー・キラー(カテゴリー・キラー殺し)」であるアマゾンの犠牲になった企業であるということです。

 「世界最大のブックストア」を目指して1994年に設立されたアマゾンは、今日では書籍、ミュージックCD、DVDなどのメディア・プロダクトのみならず、複数の商品カテゴリーを横断し、市場シェアをむさぼるオンラインの巨獣となっています。

 もともとの同業者であるボーダーズやバーンズ・アンド・ノーブルがその影響を真っ向から受けていることは言うまでもありませんが、サーキットシティやベストバイなどの電化製品チェーン、そして、過去にさかのぼればトイザらスやFAOシュワルツなどの玩具チェーンも、アマゾンとの激しい価格競争に苦しめられてきました。

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