一読して、私は1950年代の歴史が面白かった。1960年代や1970年代はしばしば語られるが、1950年代は朝鮮戦争特需でひとくくりされてしまうからだろうか、新鮮だった。3輪の2ドアセダン「ダイハツBEE」(1951年)の流線型は美しい。運転免許取得者の激増に応えた鮫洲の試験場開設は1952年。
全日本自動車ショウ(後の東京モーターショー)は1954年に日比谷公園で始まり、54万人も集客。翌年(1955年)は78万人と大きく増やしたが、一方、直近の2009年はたったの61万人。自動車への熱の違い今昔を感じさせる。
エンタメ作品に登場する自動車会社にもツッコむ。加山雄三主演の映画『若大将シリーズ』の社会人編『フレッシュマン若大将』(1969年)で、主人公が就職するのは日東自動車。マンガ『巨人の星』(1966〜1971年)の準主人公、花形満は花形モーターズ、伴宙太は伴自動車工業の御曹司。自動車会社の御曹司が“花形”の時代だった。
「プリンスやセンチュリーなど御料車(皇族の乗るクルマ)のことも書いたのですが、“天皇陛下のインテグラ”をご存じですか?」と志村さん。
2008年のテレビ番組では、美智子さまを連れて吹上御所からテニスコートまで運転する天皇をとらえていた。クルマは平成3年(1991年)型のホンダ・インテグラ。実に安全運転だった(当たり前か)。
20年モノの4ドアセダンを愛用されているわけだが、実は天皇陛下は相当のクルマ好きと言われる。だが、なぜインテグラなのか? 単にモノを大切にしているだけでないだろう。『クルマでわかる!日本の現代史』で1991年をひも解くと、「本田宗一郎氏が死去した年」とある。陛下なりの本田氏へのオマージュなのだろうか。
それにしてもきっと高速を飛ばしたいだろうな。もしそうなら、叶えさせてあげたい。
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