FXの「証拠金」、なぜ必要なの?南はるなのFXのヒミツ(2/2 ページ)

» 2011年02月23日 08時00分 公開
[南はるな,Business Media 誠]
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 そもそも、各通貨のレートは1日でそれほど大きく変動しません。米ドルの1日のレート変動幅は、特別な要因がない限りせいぜい数十銭〜数円程度です(変動率は高くても1%ほど)。積極的に収益を狙っていくのであれば、ある程度の取引数量が必要になってきます。

 そこでもう1つ考え出されたのが、持てる資金を元手(=証拠金)に、その数倍〜数十倍の取引を行うことができるようにした「レバレッジ」の仕組み。レバレッジとは、英語で「てこの原理」を意味するLeverageから来た言葉ですが、この「てこ」を使って、手持ちの資金より大きな金額を動かす仕組みを投資の用語でレバレッジと言います。

 例えば、さきほど米ドル/円を1万通貨取引するには、約83万円の資金が必要と書きましたが、仮に5倍のレバレッジを利用した場合、おなじ資金額で5万通貨分の取引が可能になります。もしも1ドル=83円のときに買い、84円になったときに売ったとすると、1万通貨なら、84万円−83万円で1万円が利益に。5倍のレバレッジを利用して5万通貨分取引をした場合は、同じ資金額で5万円の利益を受け取ることになります。

 このように、FXでは元手=証拠金に「レバレッジ」をかけることで、資金効率を高めることができるのです。

レバレッジは諸刃の剣

 先ほどのレバレッジ5倍の例で、利益も5倍になるという説明をしましたが、逆に為替が予想と違った方向に動けば損失も5倍になります。レバレッジは大変便利なツールですが、特にこれからFXを始めようと考えている人は、最初は低めのレバレッジで、小さな取引単位から始める方がいいですね。いきなり全資金を投入して最大レバレッジをかけた一発勝負のような取引をすれば、あっという間に資金が尽きるかもしれません(さすがに、そんな人は少ないと思いますが……)。

 FXの取引は、継続的に取引することで利益を積み上げていくものですから、くれぐれも証拠金に対して余裕を持った取引を続けていただきたいと思います。レバレッジを利用した取引に慣れるまでは、FX会社が提供しているデモ口座を利用されるのもいいかもしれません。本口座同様のレートを使った仮想資金での取引を、無料で体験できる会社もありますので、活用しない手はないですよね。

 なお、利用できるレバレッジはFX会社によって異なりますが、2010年8月の法改正により、国内の個人投資家向けのレバレッジの上限は50倍となり、今年の8月からは25倍まで引き下げられます。

今日のFX用語

証拠金:FX取引に必要な資金、元手のこと。

レバレッジ:証拠金の数倍〜数十倍の取引ができるようにした仕組みのこと。


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