中国利上げの影響を懸念して冴えない展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年02月09日 18時48分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 中国が利上げを発表したにも関わらず米国株が利益確定売りをこなして堅調となったことやトヨタ(7203)が通期業績の上方修正を発表したことに見られるように企業業績の回復を好感する動きから買い先行となりました。芳しくない決算を発表する銘柄の中には大きく売られるものもありましたが目先筋の買戻しなども交えて堅調となりました。ただ、中国の利上げを懸念して利益確定売りも嵩み、日経平均は一時軟調となる場面も見られるなど、指数は上値の重い展開となりました。

 米国市場の動きを見ていると中国の利上げであく抜け感も出たのかと思われましたが、日本市場では中国の経済動向と言うよりは中国株式市場の動きを気にする向きも多く、中国関連銘柄が売られ指数も上値の重い冴えない展開となりました。決算発表や金利の動向に反応しているようでいて、日本の株式市場はどうしても目先の需給、目先筋の動きなどが全体に波及するケースが多いものと思います。

 中国の株式市場、特に上海市場は規模こそ大きくなったものの市場参加者という意味ではまだ偏りが見られ、中国の個人投資家の投資意欲は示してしているものの、中国の経済自体を反映しているとは言い難いのだと思います。そして、日本の株式市場は確かに中国経済の影響は大きいのだと思いますが、中国の株式市場の影響はそれほど大きくないのではないかと思います。米国市場では米国経済と米国株式市場が密接に結びついており、米国株式市場の動きが日本の経済、すなわち株式市場に影響があっても良いと思いますが、中国の株式市場を見ながら売り買いする必要もないのではないかと思います。

 そもそも日本の株式市場が日本経済の実体を示しているのかどうかも怪しいのですが、突き詰めると「株価は何に影響されるのか」と言うことになるのでしょうが、何度もこのコラムで述べているように「投資家=インベスター」「投機家=スペキュレーター」「ヘッジャー=危険回避者」「アービトラージャー=裁定取引者」の4者の誰が中心の相場か、と言うことで株価の反応も変わってくるのでしょう。それでも、基本的には業績が良ければいずれ買われ、悪ければ売られると言うことなのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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