終わらない“牛丼戦争”……ゼンショー、280円の狙い(1/2 ページ)

» 2011年02月09日 14時55分 公開
[ZAKZAK]

 外食業界の勢力図が塗り替えられつつある。これまで外食日本一だった日本マクドナルドホールディングスに代わり、新たにトップの座に着こうとしているのが、牛丼チェーン店「すき家」を展開するゼンショーだ。

すき家

 すき家は激烈な競争を繰り広げている牛丼チェーンの中でトップ。店舗数は約1543店(2月8日現在)で、年間200の新店舗をオープンさせている。これについて、同社営業企画部の廣谷直也さんは「牛丼チェーンはまだまだ出店可能」と説明する。「ハンバーガーチェーンは大手3社で約6000店。これに対し、牛丼チェーンは3社でまだ3000店ほどしかありません」

 従来の牛丼チェーンがカウンターだけだったのに対し、すき家は1982年の創業当時からテーブル席を設置していた。他チェーンとの差別化を図るために、従来の男性向けイメージを払拭し、女性やファミリーをターゲットにしたのだ。その戦略は、結果として牛丼市場に新しい顧客層を取り込むことに結びつき、08年9月に国内1087店を達成。当時、1077店だった「吉野家」を抜いた。

 09年11月、すき家はそれまでの「並」330円を299円に値下げし、期間限定の「牛丼まつり」を始めた。この値下げは大きな反響があり、牛丼価格の見直しと検討が始まった。これが昨年の牛丼値下げ戦争に発展する。

 すき家は、価格の見直しとともに“米・肉・タレ”の3要素の見直しを始めた。従来のまま値段を下げたら、これまでの値段は何だったのかと不信を与えるだけ。まったく新しい牛丼をこの価格で提供して初めて、バリュー感が生まれるのだ。

 鍵になったのは“米”だった。思い切って銘柄を変更し、おいしいが粘り気が強く牛丼に使用したことのないコシヒカリを採用した。粘り気は、各店舗で水分量を調整することで、対応することにした。

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