中国利上げも影響は限定的で堅調な展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年02月09日 08時28分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<日経平均>10635.98△43.94

<TOPIX>944.00△3.57

<NYダウ>12233.15△71.52

<NASDAQ>2797.05△13.06

<NY為替>82.34△0.02

好調な決算を改めて見直し、中国利上げも影響は限定的で堅調な展開

 好調な決算や業績改善見通しを示すものが見られたことで、新興国が牽引する格好で世界経済の拡大が続いていると見られ、企業業績の回復、改善が期待され堅調となりました。朝方は中国の利上げの影響や世界的なインフレ懸念から利益確定売りに押されるものも多かったのですが、好業績を背景に底堅い展開となり、押し目買いや買い直しの動きが加速されて堅調となりました。目先的な過熱感はあるのですが、業績の回復が見られることで買い安心感も出ているものと思います。

 世界的な景気拡大の中で米国企業の業績が伸び、企業業績の回復が個人消費や雇用の改善につながっているということで、米国市場も堅調な地合いとなっています。センチメントも上向いていることで、中国の利上げも「織り込み済み」と言う反応になり、特に世界経済の拡大にすぐに影響があるというよりは世界的にインフレが問題になるほど経済の拡大が続いているということだと市場では見ているということなのでしょう。

 個別には1月の世界の既存店売上高が前年同月比で5.3%と堅調とであったことが好感されてマクドナルドや2011年の業績改善見通しを示したアルセロール・ミタル、IBMなどが買われました。景気敏感銘柄は総じて堅調、アルコアやキャタピラーなども高くなりましたが、ホーム・デポやGE(ゼネラル・エレクトリック)といった消費セクターに近いところの銘柄が高くなりました。インテルが軟調、バンク・オブ・アメリカも軟調と、ハイテク銘柄や金融株には利益確定売りに押されるものも見られました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は堅調ながらも上値の重い展開となりました。米国株高などから買い先行となり、好決算の発表に反応して買われるものも多かったのですが、一方で好決算を織り込んで買われていたものに買い一巡感もあり、指数の上値は重くなりました。出遅れ銘柄を物色する動きも見られて総じて堅調となったのですが、終始方向感はなく、日中の値動きは日経平均で25.10円と25年ぶりの小さな値動きとなりました。

 本日の日本市場は中国利上げの影響が懸念されますが、米国株が堅調となったことや為替も円安気味となったことで、影響も限定的で堅調な展開が期待されます。中国の利上げでアジア通貨買いとなって円高となることや、新興国経済の拡大スピードが鈍るということも懸念されましたが、中国の経済拡大はまだまだ続くものと思われますし、新興国の生活水準向上の動き=景気拡大の動きも鈍るということはないと思います。自動車株などを中心にハイテク銘柄など、好業績となっている新興国の生活水準向上の恩恵を受ける銘柄などが改めて物色されることになりそうです。

 中国の利上げやトヨタ(7203)が業績の上方修正を示したことが相場の転機となる可能性もあり、節目と見られる10500円〜600円を抜けるきっかけとなる可能性もありそうです。中国利上げも「あく抜け」となるのではないかと思われ、好業績銘柄の利益確定売り一巡となったところから物色されて指数を押し上げる可能性もありそうです。もう少し過熱感が強まるまで、一旦は10500円〜600円台を固める動きから10800円〜900円水準の次の節目を目指す動きとなって来るのではないかと思います。

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