苦手な部下との面談をどう乗り切るか(1/2 ページ)

» 2011年02月09日 08時00分 公開
[木田知廣,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:木田知廣(きだ・ともひろ)

シンメトリー・ジャパン代表。米国系人事コンサルティングファーム、ワトソンワイアットで、成果主義人事制度の導入に尽力。欧州留学を経て、社会人向けMBAスクールのグロービスの立ち上げをリード。2006年、経営学の分野で有効性が実証された教育手法を使い、「情報の非対称性」を解消することをミッションとしてシンメトリー・ジャパンを立ち上げる。


 最近は人事考課にMBO (目標管理制度)が導入されている企業が多くなり、「パフォーマンス・レビュー」がますます大事になっています。パフォーマンス・レビューとはすなわち、上司と部下が1対1で面談を行い、それまでのパフォーマンスのレビュー(振り返りと評価)を行い、次への目標設定をする場です。

 レビューされる部下にとっては緊張の瞬間かもしれませんが、上司にとってもなかなか気が重いものです。特に「成果(パフォーマンス)が上がらない」「行動に問題がある」「意欲が明らかに減退している」なんて人との面談は気を使うもの。

 意欲や行動の改善を伝えるわけですが、ダイレクトに言ったら、相手はカチンと来て余計へそを曲げるんじゃないかとヒヤヒヤする時ってありますからね。部下の方も、心当たりがあればあるほど、「いや、そんなことはないですって」と防衛反応を引き起こしそう。

 そんな時、知っておくべきことが「フィードバックのコンセントリック・モデル」です。「コンセントリック(concentric)」というのは、英語で「同心円」を意味し、同モデルはその名の通り4層の同心円からなり、中心から「パーソナリティ」「意図」「発言・行動」「聞き手の反応」となります。

 大事なのは外側三層のマッチング、つまり「筋が通っているかどうか」です。もうちょっと具体的に言うと、「フィードバックは質問から始めましょう」ということ。

 何を聞くため?

 それは「意図」です。

 つまり、「あの時、●●という行動をしたけど、あれは何を狙っていたの?」「プレゼンの最初に●●と言っていましたが、あれは何を意図したんですか?」など、発言や行動の背後にある意図を聞いてあげるのです。

 ……と言われて気付く人もいると思いますが、フィードバックはたいていの場合、「私はこう感じた」→「だから、あの行動は改善してもらおう」という構造になりがちで、相手の「意図」を聞くことってないんです。

 「フィードバックではまず相手の意図を聞く」が、コンセントリック・モデルを実行に移すための、極めて分かりやすい第一歩です。

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