1人で抱え込まないで……内閣府が、性暴力を受けた被害者を支援

» 2011年02月08日 19時00分 公開
[Business Media 誠]

 配偶者からの暴力に関する相談件数が7万件を超えた(2009年度、内閣府調べ)。DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律)が施行された2002年度に比べ、相談件数は2倍を超え、被害が深刻化している。その一方で異性からの暴力について相談できる窓口を知らない人や誰にも相談していない人が潜在化している可能性がある。そんな状況を受け、内閣府の男女共同参画局は誰にも相談できずに苦しむ被害者を減らすことを目的に、「パープルダイヤル―性暴力・DV相談電話―」(2月8日〜)を始めた。

配偶者暴力相談支援センターにおける相談件数(出典:内閣府)

 2008年に内閣府が行った調査によると(参照リンク)、「異性から無理やりに性交された経験がある」と答えた女性は7.3%。また「無理やり性交された時期」で多かったのは20代(38.2%)、10代(32.6%)、30代(15.4%)という結果に。内閣府では7.3%の女性が強姦された経験があることと、「強制わいせつ」(女性6577人)の認知件数が「強姦」(1402人)の4倍以上であることから、性暴力被害者は30%以上と推測している。

「異性から無理やりに性交された経験がある」と答えた女性は7.3%(出典:内閣府)

DV被害を相談しない理由

 DVの被害者はどのくらいいるのだろうか。「あなたはDVを受けていますか?」と女性に聞いたところ、「はい」と答えた人は2.5%。ただDVの具体的な内容――殴る・蹴る・生活費を渡さない・長時間無視する・避妊に協力しない、などの項目を挙げると、DV被害者は11.3%にのぼった。殴る・蹴るといった肉体的暴力のみをDVととらえ、実際にDVにあっているのにも関わらず、被害者であることを自覚していない人が存在した。

 異性や配偶者から暴力などを受けた女性は、誰に相談しているのだろうか。性暴力を受けた女性の62.6%は「誰にも相談していない」と回答。またDV被害を受けたが、誰にも相談しなかった理由を聞いたところ「相談するほどのことでもない」(45.2%)、「自分にも悪いところがある」(39.3%)といった回答が多かった。調査結果を見ると、誰にも相談できずに孤立し、「自分にも原因がある」と考えている女性が目立った。

DV被害を相談しなかった理由(出典:内閣府)

性暴力被害者にも対応

 性暴力などの被害経験がある女性はおよそ3人に1人。そして被害者の5〜6割は誰にも相談できず、個人で抱え込んでいる――。こうした実態を踏まえ、内閣府は「パープルダイヤル」を始めた。

 これまでDVの相談は受け付けていたが、このパープルダイヤルでは性暴力も対象にし、幅広く被害者を支援していく。また暴力の被害は時間を選ばないため、24時間対応している。パープルダイヤルの連絡先は0120-941-826(2月8日10時〜3月27日22時まで)。

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