コラム
» 2011年02月03日 08時00分 UPDATE

相場英雄の時事日想:NECとレノボの提携報道に見る、経済ニュースの“ガラパゴス化” (1/3)

NECとレノボが、合弁会社を発足した。各メディアはこのニュースを大きく報じたが、果たしてその“価値”はあったのだろうか。各社が前向きな論調をした背景には、後追い報道の弊害があったのかもしれない。

[相場英雄,Business Media 誠]

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『株価操縦』(ダイヤモンド社)、『偽装通貨』(東京書籍)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo


 1月21日、日本経済新聞朝刊で、NECと中国レノボがPC事業で合弁を検討していると伝えられた(1月27日に両社が正式発表)。同紙が一面トップの大見出しで合弁交渉を伝え、他の主要メディアも一斉に後追いした。内外大手同士の大型JV(ジョイントベンチャー)を巡るニュースは今年初であり、ニュースバリューがあるのは間違いない。ただ、メディアの前向きな論調とは裏腹に、株式市場、あるいは専門家の反応は冷淡だった。その答えは、「日本型経済報道」にある。

 →「NECにとって大きな広がりのある提携だ」──NECとLenovoの合弁会社(ITmedia News)

「日中連合」と「負け組連合」の温度差

 まず同日の日経一面記事を見てみよう。

 「NEC、レノボと合弁=パソコン日中連合……NECが中国のパソコン最大手レノボとパソコン事業を合弁で展開、開発や生産、資材調達を一体化し、規模拡大で競争力を高める(中略)日中を代表する企業が連携し世界市場を本格的に開拓する初のケースになりそうだ」――というのが記事のリードだ。

 あらかじめお断りしておくが、同記事を書くにあたり、熱心に取材した記者、あるいは取材チームをくさすつもりは一切ない。合弁、あるいは合併・買収(M&A)は、当事者である企業同士の駆け引きがすさまじく、ニュースが出た段階で交渉が打ち切られるケースさえある。取材が難航することはしばしばだ。それだけに、正式発表に先立つ形でニュースにする難しさは筆者も重々承知している。

 だが、筆者が同日の大見出しを見た際、正直なところ首を傾げざるを得なかった。PCに関してはズブの素人の筆者でさえ、「NEC・レノボ」という組み合わせが、記事で触れているような前向きニュースとしてとらえることができなかったからだ。NECは国内のPC市場でシェア1位を維持しているものの、海外の販売事業からは既に撤退した企業なだけに、極言すれば、両社の合弁は筆者の目には“弱者連合”に映った。

 実際、当日午前の段階で、筆者の元には多数のメールが寄せられた。筆者は、他のサイトなどで経済ニュースに関するコラムを書いている関係上、アナリストや電機業界関係者に多くの協力者を得ているが、一様にこの報道には筆者と同じような感想を抱いていたのだ。

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