日本人経営者は、フィリピンの格安マンツーマン語学学校をどう運営しているか世界一周サムライバックパッカープロジェクト(4/5 ページ)

» 2011年02月02日 08時00分 公開
[太田英基,世界一周サムライバックパッカープロジェクト]
世界一周サムライバックパッカープロジェクト

フィリピンの国民性

――フィリピンで働く魅力を教えてください。

井坂 給料面や快適性を求めるなら、日本やほかの先進国の方がいいと思います。一方、フィリピンで起業する日本人はものすごく少ないので、事業チャンスはいっぱいあると思います。ただ、フィリピン人のパートナー選びが一番大事です。日本人単独で事業を起こすのは、かなり難しいと思います。

――フィリピン人の働きぶりはいかがですか?

井坂 個人差がかなりあります。例えば、CNE1の教育部門の責任者のRheaは、日本人顔負けの働きぶりです。土日や深夜遅くまで仕事をしていて、体調が崩れても薬を飲みながら仕事をします。自分の受け持つ授業の準備は徹底的にします。またCNE1の講師も優秀で、真面目に働く人が多いです。遅刻もほとんどありません。

マンツーマンレッスンの様子

 一方、ブルーカラーの人たちは個人差がありますが、同じことを何度も言わないといけなかったり、簡単な指示でもできなかったり、時間にルーズでオーナーがいないとサボったり、言いわけが多かったり、少し強く言うと泣いて辞めてしまったりと、結構、最初のころは頭を痛めることが多かったです。しかし、辛抱強く、紙にフローまで書いて1つ1つ指示していくなど工夫していくと改善されました。女性は比較的優秀な人が多いと分かってきたので、 CNE1では女性の採用を積極的に行っています。

――フィリピンの生活はいかがですか。

井坂 生活はとても快適です。フィリピンは海や山などの自然も多いし、マニラのマカティ市やCNE1のマニラオフィスがあるオルティガス市は最先端の都市で、過ごしやすく快適です。CNE1に留学された学生も都会だということに驚く人が多いです。さらに、物価がとても安いのが魅力の1つです。ぜひ、フィリピンに一度、お越しください。その良さはここに来てみないと本当に分かりません。

――言語の壁をどう克服されましたか?

井坂 フィリピンで学校を立ち上げることになったので、「言葉の壁だ」と言っている暇は正直なかったです。また、僕は若いころから海外で留学していたことが大きいと思います。海外に住めば、英語を話さなければいけない状態になります。要はスポーツや音楽などと同じで、日々の訓練をどれだけ行ったかによると思います。

 さらにもう少し本質的なことを言うと「言葉の壁とは結局、心の壁だ」と思います。自分で自分の壁を作っていると思います。簡単な単語や身振り手振りでもいいと思います。日本人は言葉を完璧に話そうとするから無理が出るわけで、要は伝えたいことを一生懸命に伝えようとする気持ちが一番大事です。そのためには、外国人の友人を積極的に作りましょう。多くの外国人と会って話しましょう。そうすれば、いつの間にか言語の壁は消えているでしょう。

――文化の壁はどう克服されたのですか?

井坂 僕自身は、フィリピンで文化の壁を感じたことは正直ありませんでした。僕がこれまでやってきた良い「文化の壁」の克服方法は、1つでも多くの国に好奇心を持って訪れることです。僕は若いころから毎年1カ国以上、新しい国を旅することを自分に課してきました。お陰で21カ国もの国を訪れることができました。ぜひ、若い人には多くの人々に会い、その国の食事、文化、歴史的建造物、世界遺産など見るべきものはどんどん見て、さまざまな体験をしていくべきだと思います。

 これも言葉の壁と同じく、「結局は心の壁だ」と思います。自分の考えや価値観がすべて正しいと思わないことも時として大事だと思います。ほかの文化や考え方を受け入れる寛容性も大事だと思います。良いと思われることは謙虚に取り入れ、学び続けた方がいいと思います。好奇心を持ち続けることが最も大事です。

――日本とフィリピンのビジネスにおける違いは?

 これに関しては、日本企業と従業員がいかに優れているかを痛感しています。色々ありますが、「従業員の意識の高さ」が挙げられます。勤勉性、時間に対する意識、責任感、規律、改善力、顧客志向、製品やサービスの完成度など、さまざま出てきます。要は日本企業の従業員の意識レベルが、フィリピンの従業員と比較して相対的に高いのです。

 もちろんフィリピンの従業員にも例外はいます。日本企業はアジアにもっと出ていくべきだと思います。課題は言語・異文化理解と現地のパートナー選びだと思います。

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