日本人経営者は、フィリピンの格安マンツーマン語学学校をどう運営しているか世界一周サムライバックパッカープロジェクト(2/5 ページ)

» 2011年02月02日 08時00分 公開
[太田英基,世界一周サムライバックパッカープロジェクト]
世界一周サムライバックパッカープロジェクト

フィリピンで語学学校を始めたワケ

――なぜ、この活動を始められたのですか?

井坂 若者にもっと海外に出てほしいという思いがあったからです。僕はこれまで、幸運にも21カ国に滞在することができました。毎年、新しい国に旅行に行くことを自分に課していて、その間、ここ数年、どんどん日本の若者の数が減ってきていると肌で感じていました。

 日本に帰ってから、さまざまな方に留学のことを聞き取り調査し、各種調査機関が出している留学関係のアンケートデータを調べたところ、「留学したいが、あきらめた」という人で一番多い答えが「留学費用の高さ」でした。さらに語学留学業界の不透明な構造、情報の少なさ、顧客を無視した営業スタイル、イノベーションが起こっていないことなど、業界の問題点が多く見受けられました。

 僕はニュージーランドやオーストラリア、米国などに約3年間留学していたので、自分自身でも留学費用の高さを痛感していました。また、留学している友人たちからも同じ意見と語学留学斡旋業者の不満をいつも聞いていました。

 「留学費用を安くするには、どうしたらいいか」と考えていたのですが、ラオスを旅行中、米国人の旅人と2人で象に乗りながら世界遺産を巡っていた時、格安マンツーマン語学留学のビジネスモデルのヒントが浮かんだのです。

 単純に留学先の場所を、欧米から物価の安いアジアに移せばいいということです。以前、スペイン語を習うために、中米のグアテマラに短期留学した経験があったことを思い出したのです。

 スペイン語を学ぶのは、スペインだと思い込んでいたのですが、スペイン語を世界で一番安く学べる国はグアテマラだと、グアテマラの『地球の歩き方』で知りました。しかもマンツーマンレッスン。初心者だった僕は、グアテマラの語学学校でマンツーマンレッスンの良さと楽しさを改めて実感。しかも格安。ニュージーランドでもマンツーマンレッスンを受けていたこともあり、ビジネスプランをイメージできました。

 ただ、問題はどこの国でやるかです。そこで、約1年かけてアジアの国々を訪問、滞在して、物価や治安、英語のレベルをチェックしていきました。アジアは合計15カ国を訪ねたことになります。候補地として、フィリピン、マレーシア、バリ島、シンガポール、スリランカ、インド、ネパールを中心に現地調査をしました。最終的にマレーシアとフィリピンに候補地を絞り、結局、ご縁もあり、一番マンツーマン語学学校を作るのに適したフィリピンで仲間と語学学校を立ち上げました。

CNE1の語学学校

――CNE1の強みや魅力を教えてください。

井坂 CNE1は学生視点をとても大事にしている学校です。従来の学校は、学校側からの一方通行型が多かったのですが、CNE1は学生の声をよく聞いています。そして必要であればすぐに改善しています。そういった姿勢はCNE1の強みの1つであると思います。

 魅力は3つあります。

 1つ目。CNE1は日本人、韓国人、フィリピン人による共同経営方式をとっている関係で、フィリピンの語学学校では珍しく、3カ国の学生が同じキャンパス内で勉強を一緒にしています。

 CNE1は幼稚園からカレッジ、看護学校まであるフィリピンの総合学校のキャンパス内に、校舎や宿泊施設、食堂を作りました。1つのキャンパス内にフィリピン人、日本人、韓国人の3カ国の学生がいるので、自然と3カ国の学生間で英語でのコミュニケーションと異文化交流があります。

さまざまな交流がある

 フィリピンの語学学校の約99%は韓国系の学校だと言われています。日本人経営の学校は、CNE1を含めても数校しかありません。フィリピンの語学学校の問題点として、日本人経営者の学校の学生は、ほぼ全員が日本人、韓国系の学校の学生はほとんどが韓国人なので、せっかく海外まで来ているのに、同じ国の人としか接することはなく、異文化コミュニケーションがほとんどないのが問題でした。CNE1はその問題点の解決策として、3カ国の共同経営方式をとって、フィリピンにある総合学校のキャンパス内に語学学校を作ることにしました。

 さらに、CNE1の講師はすべて同じ宿泊施設にし、授業外でも学生は英語で話ができるようにしました。お陰さまで、他校との差別化ができ、学生の評価も高いです。また、他校ではビルや家を改造して、学校にしているところが多いですが、CNE1は学校と緑が多いキャンパスを自前で持っているのも大きな魅力です。サッカーやバスケットなどのスポーツも行っており、今後はプールの建設も行います。

 2つ目。CNE1のカリキュラムの魅力は、マンツーマンレッスンの利点を最大限生かして、コミュニケーション力向上に特化している点です。特にスピーキング力向上に最も力を入れています。

 また、CNE1のカリキュラムは柔軟で、きめ細かいレベルチェックとサポートがあります。CNE1は学生自身が選べる目的別マンツーマンカリキュラムを採用しています。自分が学びたい目的とレベルに合わせて、英語を柔軟に学べるのもCNE1の大きな特徴です。メインコースは「日常会話」「トラベル会話」「ビジネス会話」です。しかもマンツーマンレッスンのコースは「4時間」「6時間」「8時間」とあり、徹底的に受けられるところも他校と違う大きな魅力です。他校ではマンツーマンとグループレッスンの組み合わせで、マンツーマンだけのレッスンはとれない場合が多いです。

 メインコースの4時間は、特にスピーキング力の向上に最も力を入れています。徹底的に声を出して、話す訓練を行います。

 また、専門の講師によるレベルチェックで弱点などの分析をし、学生の要望を踏まえた上で、最適なテキストを40以上のレパートリーから選びます。途中で確認テストを行い、卒業前にも最終確認テストを行い、分析シートを作成し、学生1人1人にフィードバックをしています。入学前と卒業時の比較などもしており、きめ細かい対応は学生からの評価が高いです。

 3つ目。留学費用は他校と比べて、かなりお得にしています。さまざまな経営努力もしています。詳しくはこちらを参照してください。

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