コラム
» 2011年01月28日 08時00分 UPDATE

吉田典史の時事日想:なぜ30〜40代は、“自分を言いくるめる”のか (1/4)

「オレはいつでも独立できるが、あえて会社を辞めない」――。このような発言をする人が、身の回りにいないだろうか。30〜40代の会社員に目立つ、現実を知らない人たち。その背景に迫った。

[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)、『いますぐ「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)など。ブログ「吉田典史の編集部」、Twitterアカウント:@katigumi


 私の周りに、自分を言いくるめる人がいる。特に30〜40代の会社員に多い。例えば、昨年暮れに久しぶりに会った44歳の男性はこう話した。

 「オレはいつでも独立できるが、あえて会社を辞めない。最近、生まれた子どもを路頭に迷わせたくないからだ」

 彼は都内の高校を中退。成績が悪く、留年したことが退学の理由なのだが、「親の収入が少ないから辞めざるを得なかった」と言う。その割には、10代のころから中古ではあるが、大型のクルマに乗っていた。その後は20代後半で自動車の販売代理店で働く。ここでも1年で、上司からの「扱いが低い」として辞める。その後、個人事業主を1年ほどするが、思い描いたように契約がとれなかった。しばらくして行き詰まり、廃業。そして知人の紹介で、とある会社で働くことになった。

 しかし、そこでも「自分の評価に納得がいかない」として退職。現在は、知人の紹介で社員数200人ほどの会社で金融商品を販売している。

 彼は40歳ころに結婚し、子どもが生まれた。今は息子と遊ぶことが楽しみ、という。ところが40代半ばになり、また口にするようになった。「会社を経営できる力はあるが、子どものこともあるので、リスクは冒さない」「俳優をしようと思えば、活躍の場はある。だが、家族のために我慢をしている」と。

 そのいずれもが、私には嘘に聞こえた。要は、自らが期待するだけの能力がないという現実から逃げているのだろう。「子どもが…」「家族が……」というのは、それらを正当化するための言い訳にしか思えなかった。

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