持高調整の買いも入って堅調な展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年01月27日 16時00分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場が堅調、為替も円高気味ながらも落ち着いていることなどから買い先行となりました。決算発表が本格化する中で買戻しを急ぐ動きや決算に期待する動きから堅調となったものと思います。昼の時間帯に大口のバスケットの買いが入ったと伝えられたことも更に買戻しを急ぐ動きが強まり、堅調となりました。円高でもハイテク銘柄など輸出株が買われていたことや債券が軟調となっているなかで日本株が買われていたところを見ると懸念された「日本売り」と言う動きはなく、堅調となりました。

 米大統領の一般教書などが話題になりましたが、その中を見ても「日本」の存在価値が薄れているような気がします。日本でも米国と同じように法人減税と財政再建と言っているには違いないのですが、米大統領のようにはっきりと具体性を持って、自信を持って言っているわけでもなく、これまでの日本政府の言動を見ても、「断固たる措置」を取ると言っていた為替介入も全く行われることもないことなどから、何を言っても市場では評価されないのでしょう。

 日本の存在価値が薄れていると言うことは、外国から見て日本に資金を投入しようと言う気にならないと言うことであり、また、日本の企業でも日本国内でとりあえず頑張って、それからが海外でも頑張るということではなく、「どうせ国内は駄目だから」と言うことで海外に出て行くということなのでしょう。先週末の市場の動きを見ても、株式も債券も為替も売られると言う状況であり、今後も日本の金融政策や景気浮揚策が効果のないものと見ると、資金が日本から逃げてしまうと言うこともあるのかもしれません。

 円高が一服となっているので、為替の水準などを政府や日銀は気にしていないようですが、金融政策をどのようにして景気を浮揚させるのか、世界の中で日本の存在感を出していくのか、を示す必要はあるでしょう。ここまで企業努力や新興国の景気拡大のおかげで最悪期は脱したのでしょうが、もっと日本全体が元気になるような政策が望まれます。法人減税をすれば、企業が元気になり、雇用の確保や賃金の上昇が見られて返って税収が増えるというようなことを考えても良いのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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