手掛かりに乏しく上値の重い展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年01月24日 16時21分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 先週末の大幅下落の反動もあって堅調、買い先行となりましたが、物色対象も広がらず、上値を買い上がるだけの決定的な材料にも乏しく指数の上値も限定的となりました。引き続き外国人が売り越し基調と伝えられたように持高調整の売りも出ているようです。先週末と同様に為替も円安気味で債券も売られており、相変わらず「日本売り」となっているのかもしれません。堅調となっている銘柄も好材料や好業績に反応していると言うよりは出遅れている銘柄やこれまで買われていなかった銘柄が買われているような感じでした。

 大幅下落の反動と言う割には反発は鈍いものとなりました。先週末の大幅下落も本当に外国人の日本からの資金の引き上げとなれば、調整が長引いてしまうものと思います。本日テレビ番組に出演した時にも述べたのですが、香港株式市場などアジア市場が堅調となるなかで日本だけ「トリプル安」となるような状況では、日本市場からアジアの他の国に資金が流れている可能性もありそうです。単なる「円キャリー取引」の解消=巻き戻しであれば、株は売られても円は買われ、信用収縮の動きであれば債券に資金が逃避するので債券が買われることになります。

 また、ユーロが堅調となるなかで、日本がトリプル安となるのであれば、これまでの「欧州売り」から「日本売り=欧州買い」と言う資金の流れが生じている可能性もありそうです。そうなると海外市場の動向に日本株式市場や債券の市場が連動することもなく、日本からの資金流出が起きてしまうことになります。買戻しが見られる銘柄も単に「ロング−ショート」と言う割高銘柄を売り同時に割安銘柄を買う持ち高の解消で買い戻されているとすれば、買い戻しが将来の株高につながることもないと言うことになってしまいます。

 まだ、良く見られる単純なファンドなどの利益や損失を確保するためだけの持高調整と言う可能性もあり、その場合であれば、中国が春節に入り、金融引き締め懸念が薄れ、日銀の金融政策決定会合や米FOMC(公開市場委員会)が終わり、日米、あるいは世界的な金融政策の方向性が見えてくれば、その金融政策に従って持ち高を増やすことになり、日本市場への投資も見られることになるものと思います。目先の持高調整が一巡となれば、売られたものが買い直される場面も見られるのかもしれません。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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