「日本売り」で大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年01月21日 15時58分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場は軟調ながらも底堅く、為替が大きく円安に振れ、買い先行となったのですが、寄り付きの買いが一巡となった後から週末の手仕舞い売りなどに押されてじり安となり、断続的な売りが最後まで続き大きな下げとなりました。株式だけではなく、債券も為替も売られ、「日本売り」=「トリプル安」となりました。売られていた銘柄などに買戻しが入り、下げ渋るもの、堅調なものも見られたのですが、総じて売られ、年末からの上げを一気に帳消しとしまうような展開になりました。

 本日の相場は寄り付き前までの予想が全くはずれてしまいました。中国での金融引き締めからの景気拡大減速が懸念されたことや週末の手仕舞い売りと言う割には下げがきつく、先物主導と言う割にはジャスダックTOP20や東証マザーズ指数の下げもきつく、債券や円が売られたことを考えると「日本売り」と言う状況となったものと思います。単に決算発表の本格化を前にした週末と言うことでの手仕舞い売りであればいいのですが、中国にGDP(国内総生産)で抜かれたことで、日本から中国への資金シフトが始まったとすれば調整も長引いてしまいそうです。

 先物主導で売られただけということであれば、指数の節目と見られる10400円台前半では売り叩き難くなって来るものと思われます。もちろん、手仕舞い売りを出すにあたって、自分の売りで大きな下げとなってしまうことが分かっていれば、先物を売ってから現物の株を売るなどと言うこともあるのでしょうが、それにしても為替動向や海外株式動向の割には下げがきつくなったと思います。日本市場からの手仕舞いと言うことであれば、来週以降もまだ続くのでしょう。

 これまで買われていなかったような銘柄や業種の株が特に理由のないなかで堅調となっていたことやジャスダックTOP20に代表される小型銘柄まで大きく売られているということはこれまで買いの主体であった外国人が反対売買に出ている可能性もあります。そして香港市場が堅調となれば、単純な手仕舞い売りではなく、日本から中国への資金シフトと言う可能性が高く、調整が長く大きくなるかもしれません。来週以降の動きが大いに気になるところです。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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