手仕舞い売りが嵩み大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年01月20日 16時19分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国金融機関の芳しくない決算や米住宅指標が予想を下回ったことから米国株が売られ、これまでの景気回復を織り込む動きが一段落となったことで、日本市場も売り先行となりました。為替も円高に振れたこともあり、大きな下落となりました。注目された中国の経済指標もほぼ予想通りと言うことで材料視されることもなかったのですが、逆に好材料ともならず下げ幅を拡大する場面もありました。

 決算動向が気になるところで、新聞の観測記事などに敏感に反応しているようです。ただ、好材料に反応は鈍いようです。2008年後半の大きな下落の後、一昨年の第2四半期からの決算動向は毎回、「足元は良いけど・・・」と言うことで先行きに対して慎重な見方をするのが常となっており、決算発表が良くても悪くても売られると言うことが多かったのではないかと思います。大雑把な見方ですが、四半期決算が前の四半期に比べて伸びが鈍いなどという理由で売られてしまっているようです。

 四半期ベースの決算を発表するようになって更に短期の業績変動に敏感に反応するような格好となってしまったのですが、本来の株式投資を考えて見ると何も四半期ベースの短期の業績変動に一喜一憂すると言うよりも、その企業の目指している方向が正しいのかどうか将来的に利益をしっかりと上げていくことが出来るのかどうかなどを見ていくことが必要ではないかと思います。目先の業績が一時的に悪く、あるいは慎重な見方をして売られる場面は買い場となることも多いのではないかと思います。

 昨年の4−6月の決算発表時にも7−9月が悪くなり更に10−12月が悪くなるから、と言うことで慎重な見方を示したものも7−9月期が終われば、実際にはそれほど悪くないと言うことになるのですが、今度は10−12月期こそもっと悪くなるだろうと言うような見方になっているのではないかと思います。企業も我々のようなストラテジストもそうですが、慎重な見方をして上振れする分にはそれほど文句も言われないのですが、逆に強気に見ていて下振れすると、文句を言われることが多いので、慎重な見方が多くなってしまうのでしょう。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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