「サラリーマンでいる限り、上司は選べない」―――多くの会社員はこう思って(悟って? あきらめて?)います。
……しかし、果たしてそうでしょうか。私がさまざまな組織の上司/部下関係を観察するに、上司と部下は最終的に呼び寄せあっているように思えます。人は3年、5年、10年、20年という時間をかけ、その人の内面的な境涯に応じた環境にみずからはまり込んでいくものです。
志を掲げて高い意識で働いている部下は、優柔不断で明快な意志を持たない上司から次第に離れていき、やがて同じような目的観を強く持った上司をつかまえ、その下に行きます。
保身でなぁなぁにやりたいと思っている部下は、やはり保身で適当にやればいいと思っている上司の下で馴れ合い関係を保とうとします(タヌキとキツネで互いを利し合っている関係性は意外と長続きします)。
何かにおびえるように働く部下には、サディスティック(加虐的)な上司がますますサディスティックになります。意気軒昂な部下なら、さっさとそんな上司の下から抜け出してしまいますが、それができない部下も世の中に多いのは事実です(第三者から見れば不思議ですが)。さらに言えば、上司の存在自体が嫌な部下は、ついには自営業を始めてしまうのです。
いずれにしても部下と上司の人間関係は、仕事上の「大いなる目的」があって、それを実現するための手段でしかありません。手段に振り回されるのも、手段をうまく用いるのも、すべては自分自身の目的観・意志の強さ、勇気ある行動によるでしょう。(村山昇)
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