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» 2011年01月07日 14時30分 UPDATE

背筋がゾゾッとする彫刻。「小谷元彦展:幽体の知覚」展 (1/4)

東京・六本木の森美術館で彫刻家・小谷元彦氏による「小谷元彦展:幽体の知覚」が開催されている。森美術館ならではの、大空間を埋め尽くす大規模インスタレーションは圧巻!

[上條桂子,エキサイトイズム]
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※この記事は、エキサイトイズムより転載しています。


 東京・六本木の森美術館で、小谷元彦氏の個展「小谷元彦展:幽体の知覚」が開催中だ。

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 本展では、東京藝大在学中より15年以上にわたり蓄積されてきた作品の数々とともに、新作のインスタレーション、彫刻、映像作品を披露している。森美術館ならではの広い空間を利用した大規模な作品展示は、それぞれの展示室でガラリと様相を変え、見る者を幻想の世界へと誘う。

 小谷氏の創作のベースは彫刻にあるが、映像や写真といった複数の媒体も用いる。動物の皮、毛、骨、筋肉といったかたちの根本にあるものを顕在化させ、さらには空気、現象、気配、感覚といった目に見えないものを可視化するような作品を手がけている。

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 英文タイトルの「Phantom Limb」は、小谷氏のギャラリーでの初個展と同じタイトルであり、「幻肢または幻影肢:手術や事故などで手や足などの一部を失った人がいまそこにはない手や足が存在するかのような感覚を覚える」という意味を持つ。それは、先天的に手足を持たない人にも同じような感覚が得られることがあるという。見えないけれど、確かにそこにある(あった)ものの感覚。

 同じポーズの少女が5枚並んでおり、手は真っ赤に染まっている。血のようにも見えるが、どうやらラズベリーの果実を手でつぶしてしまったようだ。13、14歳くらいだろうか、まだ大人になりきれない少女は、目を開けたりつむったり、アンニュイで空ろな表情を浮かべる。

エキサイトイズム 「ファントム・リム」1997年 Cプリント 148×111センチ(各、5点組)高橋コレクション、東京 撮影:木奥恵三 写真提供:森美術館

 手の「赤」は、キリストの磔刑のようにも見えるし、子ども時代を終える初潮のメタファーにも見える。スカートの中身が見えそうで見えない膝の角度からも髪の毛1本1本からも緊張が感じられ、何か見えないものに縛られている、ゆえにそんな表情を浮かべるのかとも思える。それが痛々しい感覚となって見る者を刺激する。

エキサイトイズム 「ファントム・リム」1997年 Cプリント 148×111センチ 高橋コレクション、東京 撮影:国守正和 Photo courtesy: YAMAMOTO GENDAI, Tokyo

 小谷氏は、この作品からも分かるように、初期の頃から従来の彫刻への概念をリセットするような作品を発表してきた。写真という媒体もそうだが、写真に写された少女の透明感、軽やかさは実体、重力からの解放にも思える。

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