インタビュー
» 2011年01月06日 12時00分 UPDATE

「タダコピ」創業者の挑戦:目指せ世界一周!「サムライバックパッカープロジェクト」とは? (1/3)

コピー用紙の裏を広告媒体とすることで、無料でコピーを利用できる「タダコピ」をご存じだろうか。学生時代に友人とタダコピを立ち上げた人物が、新たな道に踏み出した。次のプロジェクトはずばり「世界一周&情報発信」だという。その狙いとは……?

[吉岡綾乃,Business Media 誠]

 2010年のノーベル化学賞を受賞した、根岸英一さん。受賞を記念して各所にインタビューが載ったが、その多くで根岸さんが繰り返し語っていたのが、「若者よ、海外に出よ」というメッセージだった。「一定期間、旅行者でなく海外に出て、日本を外から見る期間があることが重要」「例え海外で成功しなくとも、一定期間、日本を外側からみるという体験は何にも増して重要なはず」という発言に、うなずいた人も多いのではないだろうか。

 いわゆる“若者の海外離れ”は、筆者自身も最近よく感じるところだ。ここ数年アイティメディアでは、新卒の編集記者が初めての海外出張に行くことになるたびに「パスポート取らなくちゃ」「えっ、パスポート持っていないの?」「はい、海外に行ったことがないので」というやりとりを各編集部で繰り返している。留学経験や海外で働いた経験どころか、旅行者としても海外に行ったことがないという20代は、ホントに増えているんだなぁ……と、身近な例を見て改めて納得している。

 10〜20代のころは海外に行きたくて仕方なかった(そして今でも、一度くらい海外で働いてみたいと思っている)筆者だが、「海外にどうして行かなくちゃいけないの?」と思う人の気持ちも分からないではない。日本は非常に快適というか、“居心地のいい”国だ。日本語が話せる限り、言葉が通じなくて困ることもない。電車は時間通りに来るし、街中にはコンビニや自動販売機があり、おなかがすいたりのどが渇いたりすればどこででも飲食物を調達できる。各種サービスは滞りなく提供されるのが当たり前であり、「お客様は神様です」の精神が徹底している。修理を頼んだのにサービスマンが来なかったとか、タクシーに乗ったら明らかに遠回りされて法外な料金を請求されたとか、5台ある自動券売機が5台とも壊れているとか、理不尽なことはまず起こらない。

 ……以上の例は、日本以外の国に行けば普通に起こる話ばかりだ。日本なら“当たり前”のことも、他の国では通用しない。当然の権利を享受するためにさまざまなものと戦うのが当たり前、という国から日本に帰ってくると「あ〜、やっぱり日本は素晴らしい国だな、天国だ」と思う。

 しかしその日本の良さが分かるのも、日本以外で過ごした経験があるからこそ。働き出し、年を取れば、どうしても自由な時間は少なくなる。やはり若いうちに一度は海外に行っておくべきだ。日本のパスポートを持っていれば、世界中ほとんどどこにでも行けるのだから――そんなことを考えていたある日、Twitterを通じて、ある一人の若者に出会った。

2年がかりで世界一周、目的は「異国のサムライ100人を探す」こと

ay_ota04.jpg 太田英基さん。現在世界一周の旅の途中

 太田英基、1985年4月生まれで現在25歳。2010年9月15日、太田さんは世界一周の旅をスタートした。1年以上日本を離れる覚悟だから、住民票は抜いた。

 最初の目的地は米国サンフランシスコ。シリコンバレーで働く日本人に会って話を聞いた後、アメリカの他都市を周り、グアテマラ、ホンデュラス、ニカラグア、コスタリカ、キューバ、メキシコ、ペルー、ボリビア、チリ、アルゼンチン、ブラジルと中南米の国を回る。2011年春からはアフリカに移動、モロッコ、エジプト、ケニアなどを旅する予定だ。ヨーロッパ各国からトルコ、インドと回ったところでいったん日本に戻り、再び海外へ。中東、南アジア、東南アジア諸国を回って「長い旅になるので予定がどう変わるか分かりませんが、最終的に日本に帰るのは、2年くらい先になると思います」

 2011年の正月は、メキシコシティで迎えた。現在太田さんは、今どこにいるか、何をしているかをブログやTwitterでリアルタイムに発信しながら、旅を続けている。

 このように書くと、やりたいことが見つからず自分探しの旅をしたい若者や、モラトリアムを持て余しているバックパッカーといった人物像をイメージするかもしれない。しかし、実際に太田さんに会った印象はまったく異なる。

 実は太田さんは、学生向けの無料コピーサービス「タダコピ」創業メンバーの1人だ。大学2年生のときに起業、株式会社オーシャナイズを設立したが、世界一周の旅に備えて、2010年の2月に同社を退職している。

 彼はこの旅を「サムライバックパッカープロジェクト」と名付けている。そう、これは彼一人の個人的な旅ではない。5人のプロジェクトメンバーとともに進めている“プロジェクト”なのだ。

 この旅の目的は「異国のサムライ100人を探すこと」、そして「そこで得たものをネットで発信すること」だからだ。異国のサムライとは、世界各地で働く日本人のこと。日本の外で活躍する日本人に会いに行って話を聞き、その考え方や経験を発信する――彼の狙いは、それを読んだ若者にとって将来のキャリアを考える上での選択肢が広がり、「海外で働く」「グローバルな仕事をする」といったことを考えることのきっかけ、気づきになることだという。

 彼は何を考え、どのような使命を感じてこのプロジェクトを立ち上げ、実行するに至ったのか。2010年9月、出発直前に直接会って話した内容を以下詳しく紹介しよう。

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