-コデラ的-Slow-Life-完結、Voigtlaenderに始まりRolleiで終わる-コデラ的-Slow-Life-

» 2010年12月29日 08時00分 公開
[小寺信良,Business Media 誠]

 2007年7月から始まったこの連載も、いよいよ今回の119回目をもって終了することとなった。自分にとっては比較的新しい連載のつもりだったが、気が付けば3年を超えていた。過去の記事は、「-コデラ的-Slow-Life-」の連載バックナンバーを参照してほしい。

コデラ的-Slow-Life 記念すべき第1回は露出計の壊れた「Voigtlaender VITO BL」

 この連載のきっかけになったのは、2006年7月の「変わりつつあるクラシックカメラの世界」という記事の取材で、西新宿の中古カメラ屋に足を踏み入れたことだった。当時は自分で修理することなど考えていなかったのだが、調子の悪いカメラを自分で調整してみたのをきっかけに、分解することにだんだん躊躇(ちゅうちょ)がなくなっていった。

 この3年で、クラシックカメラの世界も少しずつ様相が変わっていった。地味に効いたのが、フィルムの入手である。以前は旧コニカミノルタのフィルム事業を引き継いだDNPフォトルシオが廉価なフィルムを販売していたが、2009年に撤退した。

 これで日本で入手できるフィルムは、ほぼフジかコダック、あとはせいぜいアグファフォトぐらいになってしまった。現像を引き受けてくれる町のDPEも形を変え、いまはケータイプリントショップになったりしている。

 しかし、いい面もある。デジタル一眼のムービー機能が次第に認知されるにつれ、単焦点オールドレンズの人気が高まってきた。各種マウントアダプタがまっとうな価格で、しかも新品で販売されるようになり、苦労して中古のアダプタを物色していたのがウソのようである。

 ジャンクカメラも、だんだん修理する人が少なくなってきたのか、店頭での価格も下がってきたように思う。3年前は一応地味ながらクラカメブームだったわけだが、それが一段落して、平常時に戻ったということなのかもしれない。

そしてこれから……

 一体いくつのカメラを修理してきたのか、バックナンバーを数えてみると38台であった。同じタイプのカメラを2回修理したりしているので、のべ台数である。連載に載らなかったものも数えると、この3年でだいたい40台ぐらいのカメラを修理して、撮影できるようにしてきた。

 インターネットには、これどころではない数の修理をされていらっしゃる猛者もおり、筆者などはまだまだなのだが、大手ニュースサイトで連載させてもらったことで、カメラレストアという趣味の市民権獲得に少しは貢献できたのではないかと思う。

 思い起こせばこの連載も、60回目ぐらいで一度終わりそうだった。ITmediaのリニューアルで、当時連載していた「+D Style」というサイトがなくなることになり、それと一緒に終了するという話だったのである。

 ところがその後、現在の「誠Style」で連載を引き取ってもらえることになり、結果的に倍の寿命を全うすることができた。連載継続に尽力していただいた渡邊宏、西坂真人、吉岡綾乃3氏には厚く御礼申し上げる。

コデラ的-Slow-Life 最後のカメラはあこがれだったRollei35

 さて3年続いた連載も、最後はあこがれのRollei 35で締めることができて、大変ラッキーだった。おそらくもうこのような連載を引き取ってくれるような奇特なWebサイトは現われないと思うし、実際定期的に連載する方もホント大変なので、今後は自分の楽しみの1つとして、ときどき自分のブログあたりで成果を披露していきたいと思っている。

 これまで愛読していただいた皆さまに感謝しつつ、筆を置くことにしたい。これまで応援してくださいまして、本当にありがとうございました。

小寺 信良

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映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作はITmedia +D LifeStyleでのコラムをまとめた「メディア進化社会」(洋泉社 amazonで購入)。


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