「西野達 別名 大津達 別名 西野達郎 別名 西野竜郎」出版記念展(1/2 ページ)

» 2010年12月24日 15時25分 公開
[上條桂子,エキサイトイズム]
エキサイトイズム

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※この記事は、エキサイトイズムより転載しています。


 西野達というアーティストをご存じだろうか。ひょっとしたら、西野達郎、いや西野竜郎、大津達という名前で記憶されている人もいるかもしれない。そう、いま挙げた名前はすべて、西野達(現在は)の作家名なのである。

 12月17日(金)より、ギャラリー・アラタニウラノにて、西野達氏の作品集「西野達 別名 大津達 別名 西野達郎 別名 西野竜郎」出版記念展が開催される。

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 西野達氏は1960年名古屋生まれのアーティストで、武蔵野美術大学修了後の1987年よりドイツに拠点を移す。現在は、ベルリンと東京を2拠点とし作家活動をしている。この作品集では、屋外で最初に作品を発表した1997年以降のインスタレーション作品の数々が収録されている。

 最初の作品、1997年にドイツ・ケルンで発表された「odbach(宿あり)」は、屋外にある彫刻の周りにプレハブ小屋のようなものを建てて1つの部屋を取り込み、小屋を建てるという作品で、部屋の中に入ると、ごく普通のリビングのような場所にどでかい彫刻が鎮座するという奇異な空間が登場するというもの。彫刻やパブリックアートの考え方とまったく逆の手法で空間を変容させた。

エキサイトイズム Tatzu Niishi、Obdach (shelter) 1997年、(Sculpture: Der Tauzieher, 1908, Nikolaus Friedrich)、Cologne, Germany
エキサイトイズム Tatzu Niishi、Obdach (shelter) 1997年、(Sculpture: Der Tauzieher, 1908, Nikolaus Friedrich)、Cologne, Germany

 以後、街の街灯を取り込んで部屋を作り、街灯を部屋の照明のように見せる空間や、教会の屋根のてっぺんにあるオブジェを取り込んだ部屋を作り、そのオブジェがリビングの置物のように見えるような空間。また、学校の屋根の巨大な時計台の時計と教室の壁時計を入れ替えるプロジェクトや、街の街灯を上下逆さまにして地下通路に明りを灯すインスタレーション……。数え上げればきりがない。屋外にもともとあるオブジェクトを、周囲の空間を変容させたり、場所を入れ替える。シンプルな発想だが、誰にもなし得ないダイナミックでユーモアあふれるインスタレーションを作り続けてきた。

エキサイトイズム Tatzu Niishi、Obdach (shelter) 1997年、(Sculpture: Der Tauzieher, 1908, Nikolaus Friedrich)、Cologne, Germany

 「以前、簡単な冊子を作ったことはあるけれど、本格的な作品集を作るのは今回が初めて。こうして作品をまとめて見ると、同じコンセプトの作品が多いかなとも改めて感じた(笑)。このシリーズはずっと続けていく予定だけど、最近は美術館やギャラリーで展示できるようなドローイングや写真のシリーズを始めたり、まだ詳しくはいえないけれど新しいプロジェクトも進行中です。あと、名前もあと2回くらいは変えてもいいかなと(笑)」と西野達氏。

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