電気代値上げの原因は、“エコ”にあったのだ松田雅央の時事日想(1/3 ページ)

» 2010年12月24日 11時43分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

 先日、契約している電力会社から料金値上げの知らせが届いた。それによると2011年2月から1kWh(キロワット時)当たり2.4セント(1セント=0.01ユーロ)、割合にしておよそ10%もの大幅値上げになるという。

 今回の値上げ理由はエコ電力の増加――。

 太陽光発電、風力発電、バイオマス発電など、再生可能エネルギーから生産されるエコ電力は火力や原子力といった通常電力に比べ生産コストが高く、その割高分は消費者が広く薄く負担する仕組みになっている。近年のエコ電力大幅増加に伴い、消費者負担がさらに重くなるというわけだ。

 1人の消費者として考えると、この値上げはかなり痛い。しかしながら、もし筆者が個人投資家であればエコ電力事業ほど魅力的な投資先は今のところ他に見当たらない。庶民でも小額から投資できるのがエコ電力事業の特徴であり、エコ電力の普及には個人にとってデメリットとメリットが共存する。

ドイツの高圧送電線

年108ユーロの負担

 筆者の家庭に届いた電力会社からの手紙を紹介しよう。

2011年2月1日からの電力価格調整について

拝啓

 ドイツにおいては、再生可能エネルギーによるエコ電力生産が人気を集め拡大を続けています。エコ電力は大気保護のため再生可能エネルギー法(EEG)により補助されていますが、それにより電力コストも増加します。このコスト増加分は費用負担に関する法律、すなわち「再生可能エネルギー割増金制度」により消費価格に上乗せされ、消費者が共同で負担する決まりです。

 他の電力会社と同様、当社も割増金が大きな財政負担となっています。この2年ほど電力料金を据え置いてきましたが、これ以上の値上げ見送りは困難であり、2011年2月1日から1kWh当たり2.4セント値上げすることとなりました。なお、2011年12月31日までは追加値上げを行ないません。

 当社は「責任ある供給」をモットーに、確実、経済的、そして環境に配慮した電力供給に努力しています。ご質問などがございましたら消費者サービスセンターへお問い合わせください。また下記の番号で無料電話相談も行なっています。

敬具

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