コラム
» 2010年12月22日 08時00分 UPDATE

米『TIME』の“時の人”はFacebookのマーク・ザッカーバーグCEO (1/3)

米『TIME』誌が毎年恒例の「今年の人」を発表した。2010年のチョイスは、Facebookの若き(26歳!)創設者兼CEOのマーク・ザッカーバーグ氏。その選択は、ソーシャル時代の本格化を示唆するものだと筆者は主張する。

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著者プロフィール:石塚しのぶ

ダイナ・サーチ、インク代表取締役。1972年南カリフォルニア大学修士課程卒業。米国企業で職歴を積んだ後、1982年にダイナ・サーチ、インクを設立。以来、ロサンゼルスを拠点に、日米間ビジネスのコンサルティング業に従事している。著書に「『顧客』の時代がやってきた!『売れる仕組み』に革命が起きる(インプレス・コミュニケーションズ)」がある。


 米『TIME』誌が毎年恒例の「時の人(パーソン・オブ・ジ・イヤー)」を発表しました。何と今年はFacebookの創設者兼CEO、マーク・ザッカーバーグ氏が26歳の若さでこの座に君臨。「我々の生活にとってもはや必要不可欠な存在となった、新しい情報交換の仕組みを作ったことに対しての栄誉である」と特集記事は述べています。

 米『TIME』誌の「時の人」といえば、米国のポップカルチャーの時流を象徴するものです。近年で、テクノロジー業界の人がこの栄誉を勝ち得たのは今年で4回目。ちなみに直近からさかのぼると、2005年にはマイクロソフトのビル・ゲイツ&メリンダ・ゲイツ夫妻、1999年にはAmazon.comのジェフ・ベゾス氏、1997年にはインテルのアンディ・グローブ氏となっています。

 2006年には「YOU(一般生活者のみなさん)」が「時の人」に選ばれました。著書『売れる仕組みに革命が起きる』の中にも書いたのですが、これはまさしく、社会や市場の大きな変化を象徴する出来事でした。YouTubeやブログなどのWebツールを通して、情報摂取のみならず情報発信を始めた生活者のパワーを、『TIME』誌という従来型メディアが公に認めたのです。

 話は前後しますが、1999年にAmazon.com創設者兼CEOのジェフ・ベゾス氏は「ショッピングのあり方を根本から変える潜在性を切りひらいたこと」に対して、この栄誉を与えられています。Eコマースの発展の1つの肝は「商品や売り手、価格情報というかつては“閉ざされた情報”を民主化し、買い手が入手しやすいようにした」という点にあり、これは市場に大きなインパクトを与えるものでした。1999年、2006年、そして2010年の「時の人」すべてに、「情報」というキーワードが絡んでいることはとても興味深いと思います。

 しかし、1999年の段階では、この対象がショッピングということにとどまっていました。それが今日では、情報の民主化がショッピングだけではなく、エンターテインメントやコミュニケーションなど広範な領域にまで及び、生活者のソーシャル化という社会現象に発展しているのです。これは、とても衝撃的なことです。

 日本では新年早々に公開されるらしいですが、Facebookの誕生を物語った映画『ソーシャル・ネットワーク』が米国では10月初めに公開されて、Facebookという会社そのものだけではなく、創設者であるマーク・ザッカーバーグ氏の私生活や人となりに対する関心が一気に高まりました。

 最近、調査報道で有名な米国のニュース番組「60 Minutes」でもFacebookが特集され、マーク・ザッカーバーグ氏がインタビューされていたのですが、その中で、彼が口にした言葉にはっとさせられました。

 「Facebookの目的はインターネットをまるごと支配し、所有することですか?」というインタビュアーの質問に直接的には答えず、彼が言ったのは次のようなことでした。

 「写真でも、音楽でも……あらゆるものを、友人や家族など自分にとって大切な人たちと『一緒に使う』ことができたら、誰でもそうしたいと思うのが当然だ」

 日増しにソーシャル化する生活者の欲求に応えるソーシャル・プラットフォームをFacebookは構築しているだけだ。その結果として、5億人の支持を得ているのだ……。私には、彼がそう主張しているように聞こえました。

 昨今、問題視されている個人情報の蓄積や売買の問題はさておき、「Facebookは、ソーシャル化する生活者の欲求に応えているからこそ生活者の支持を得て、より一層の繁栄を続けているのだ」というザッカーバーグ氏の主張は、私には妥当なもののように思えます。裏返して言えば、生活者の「ソーシャルな欲求」、市場のソーシャル化に応えられない企業は衰え、去り行くのみ……と言うこともできるでしょう。

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