ニホン人が、借金の恐さを知らないワケちきりん×磯崎哲也のマジメにおちゃらける(6)(1/4 ページ)

» 2010年12月21日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 「会社を辞めたので、お金がない」「ちょっと旅行をしたいので」といった理由で、消費者金融からお金を借りる人がいる。また企業経営者でも「資金繰りが苦しくなったので」「新しく設備投資をするので」を理由に、お金を借りるケースは少なくない。

 自分が返済できる範囲であれば問題はないが、あまり考えず、気軽にお金を借りる人は借金の恐さを分かっていないのではないだろうか。この問題について、正体を明かさないブロガー・ちきりんさんと公認会計士の磯崎哲也さんが語り合った。

磯崎哲也(いそざき・てつや)さんのプロフィール

1984年早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。長銀総合研究所で、経営戦略・新規事業・システムなどの経営コンサルタント、インターネット産業のアナリストとして勤務。その後、1998年カブドットコム証券株式会社の社外取締役、株式会社ミクシィ社外監査役、中央大学法科大学院兼任講師などを歴任。現在、磯崎哲也事務所代表。公認会計士、システム監査技術者、公認金融監査人。

著書に『起業のファイナンス』(日本実業出版社)がある。ブログ:isologue、Twitterアカウント:@isologue


「ファイナンス」について勘違いしている人が多い

磯崎哲也さん

磯崎:「ファイナンス」に関する勘違いというのは、ビジネスの世界にもあります。例えば自営業を営んでいる人が会社を倒産させると、自己破産するか、クビをくくるか、一家離散になるか、夜逃げをするか――といったイメージを持っている人が多いのではないでしょうか。また一度失敗した人はやり直すチャンスすらもらえない、と思っている人も多い。しかし、必ずしもそんなことはない。

 例えば、僕が知る限り、将来上場を目指すようなベンチャー企業を経営していたイケてる人は、会社がうまくいかなくなっても、引く手あまたなんですよ。なぜかというと、日本はそうしたチャレンジをする人が少なく、また経営に関わった経験のある人が非常に少ないからです。

 もちろん、すべての失敗した経営者が引く手あまたなわけじゃないです。例えば、漫画『ナニワ金融道』や『カバチタレ』に出てくるような会社の倒産は、ある意味、経営者が約束を破っていることが多いわけです。金融機関や貸金業者に「お金を返します」という約束をしていながら、きちんと返済していない。「ウチは大丈夫、大丈夫」と言って商品を仕入れておきながら、買掛金(商品仕入などの未払代金のこと)を払えずに倒産してしまう。

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