金融株が売られ上値も限定的清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年12月17日 08時50分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>11499.25△41.78

<NASDAQ>2637.31△20.09

<NY為替>83.91▼0.33

好調な経済指標の発表が相次ぎ堅調だが、金融株が売られ上値も限定的

 朝方発表された新規失業保険申請件数が改善、住宅着工許可数は予想に反して減少となったものの住宅着工件数は予想を上回り、フィラデルフィア連銀が発表した12月の景気指数が5年8カ月ぶりの水準となったことが好感されて堅調となりました。ただ、ギリシャの格下げなど相変わらず欧州での金融不安に対する懸念も残り、また、FRB(連邦準備理事会)がデビットカード手数料の制限案を示したことや商品相場が利益確定売りもあって軟調となったことから、上値も限定的となりました。

 引き続き経済指標は好調、改善を示し、景気回復が順調となっています。ただ、ある程度織り込まれつつあることや欧州の金融不安、中国の金融引き締めなど懸念材料も未だ解決しきれていないことに加え、目先的な過熱感もあって上値も重くなっています。今後はクリスマス商戦の動向などをにらみながら個人消費や雇用、住宅などの回復をどこまで織り込んでいくのかと言うことになり、年が明けてからは再度企業業績の回復度合いなどを見ていくことになるものと思います。

 個別には2010年9−11月期の減益を発表したフェデックスは売り先行となったものの、2桁増収であることや2011年5月通期の1株利益見通しを引き上げたことから買われ堅調となりました。目先の調整一巡とクリスマス商戦期待からJCペニーやメーシーズは高く、景気回復期待もあってキャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)など景気敏感株やインテル、HP(ヒューレット・パッカードなども堅調となりました。住宅ローン担保証券(MBS)投資の損失問題が解決に向けて進んでいるとしてバンク・オブ・アメリカ)は堅調となりましたが、欧州金融不安からJPモルガン・チェースなど銀行株は冴えない展開となり、デビットカード手数料の制限案が示されたことが嫌気されてアメリカン・エキスプレスやビザ、マスターカードなどは大幅安となりました。住宅着工件数が好調でKBホームなど住宅関連銘柄も高く、引け後に大幅増益決算を発表したオラクルは時間外取引で買われています。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は相変わらず指数は小動きとなり方向感の展開となりました。銀行株や電鉄株の一角が堅調となり、ハイテク銘柄の一角が軟調となったのですが、為替に動きがあったとか特に材料があったわけでもなく目先の需給要因での動きとなりました。売られたものが買われ、買われたものが売られると言う状況であり、景況感も先高感も強弱入り混じり、方向感もないと言うことなのだと思います。

 米国株高を受けて堅調な展開も期待されますが、週末と言うことや為替が円高気味ということもあって上値も重くなりそうです。円高がさらに進むようであれば週末の手仕舞い売りやヘッジ売りも嵩んで軟調となる場面もありそうです。指数には過熱感も出ているのですが、個別にはもみ合いの中での動きとなっているものも多く、「休養十分」とばかりに昨日まで上値の重かった銘柄などは個別に堅調となるものと思います。小型銘柄は物色一巡感もあり、いったんは上値も重くなるものと思います。

 10200円〜300円水準の節目をなかなか抜け切れません。10200円〜300円の節目での下値固めと言う感じで、日柄調整が進んでいると見られ、この水準でのもみ合いの中で過熱感を冷まし、次の節目である10500円〜600円水準を目指すことになるのでしょう。一目均衡表の基準線も10000円を超えてきており、10000円を割り込む可能性も少なくなったものと思われます。目先的には先週末の大きな陰線を上下どちらに抜けて来るのかが注目されます。

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