円高に振れたにもかかわらず底堅い堅調な展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年12月14日 15時57分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場も崩れそうで崩れず、堅調な地合いが続き、日本市場も目先的な過熱感が強いなかで、円高に振れても底堅い堅調な展開となっています。世界的な過剰流動性の中で外国人も買い越し基調が続いており、他国に比べて出遅れ感が強いことも堅調となっている要因の一つとなっているのでしょう。加えて、円高が進まないとなるとこれまで円高が進むことを前提に慎重な見方となっていた企業業績を見直す動きもあり、慎重な企業業績でも割安感が強かった銘柄などを買い直す動きも出ているものと思われます。

 世界的な金余りのなかで商品相場も堅調となり、中国をはじめ新興国ではインフレ懸念も強まっています。一方で日本では未だにデフレ脱却とはいかず、資金の流れも収縮しているような感じです。米国でも富裕層の減税継続に対して反対する動きも根強く、まだままだ「バブル崩壊」の痛手が大きいのか「お金を使うこと」がいけないことのような見方も出ています。米国ではクリスマス商戦が好調と伝えられ、日本でもコンビニエンスストアの売り上げなども上向いているようですが、そうした流れに「乗る」ような動きは見られないようです。

 ただ、これだけ資源価格などが上昇すれば資源国などを中心に貧富の差こそあれ、全体としての生活水準が向上、さらに資金が流れると言う方向に向いているのでないかと思います。金融危機前の状況も今の状況と同じであり、資源価格などが上昇し新興国の経済が拡大すれば、さらに資源価格など「モノ」の値段が上昇、新興国の生活水準もさらに上昇すると言うことなのだと思います。この資金の流れが欧米や日本に向かうのかどうかが今は注目されるところであり、この資金の流れる方向を見ていくと良いのではないかと思います。

 そうした資金の流れが、ようやく日本市場にも流れてきたのだとすれば、相対的に割安に放置されていた日本株も水準訂正となる可能性もありそうです。あとはそうして流れ込んだ資金が米国の個人消費や雇用の安定のように、日本国内で回ってくるのかどうかを見極めることになるのでしょう。新興国で稼いだお金をいかに国内で使わせるかと言うことが今後は注目されるのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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