ちきりん:その一方で、米国には各州にコミュニティカレッジがある。例えば高校を卒業してからずっとファストフード店などで働いていて「マネージャークラスになりたい」と言うときに学位が必要になると、マーケティングやアカウンティングを学ぶためにそのコミュニティカレッジに通うことができます。この場合、その州の人であれば、かなり安い学費で勉強できます。こちらには“公”のお金が入ってるわけです。
国や行政は、弱者に教育を与える場を提供しなければいけないと思うんです。しかし日本は正反対で、大学は国立の東京大学がトップ。関西では京都大学がトップで、これも国立。地方でも各地方の国立大学が一番よくて、それ以外は私立。このシステムは米国と真逆ですよね。弱者が市場原理の中に放り出されているんです。
磯崎:確かに。
ちきりん:大手消費者金融は上場しているので、毎年毎年、増収増益が求められます。市場が成長しているとまともな商売ができるのですが、不況で返済能力が下がっていても無理矢理貸そうとする。海外に進出するとか、異なる資金需要を商品化するなど新規事業に力を入れるべきだったのに、安直にこれ以上貸しても返せそうにない人にも貸したりした。背景には返済できなくなっても、その人がヤミ金からお金を借りれば、貸したお金が返ってくるからというのがあったと思います。
しかし、それってモラルハザードですよね。サブプライムも同じですが、消費者金融も巻き込むべきではない1割の人にも手を出し始めたので、反動として、あんな極端な改正貸金業法の成立を許してしまったのではないでしょうか。業界全体でこの線は越えてはならないというのを、きちんと守っておくべきだったと思います。
磯崎:そうですね。
ちきりん:消費者金融は大きな、しかも可能性のあるビジネスだったのに、このままだと法律に市場がつぶされてしまうかも、というのは残念に思いますけど。
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