景気回復を織り込みつつ個別の材料に反応清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年12月10日 08時30分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>11370.06▼2.42

<NASDAQ>2616.67△7.51

<NY為替>83.74▼0.28

雇用の改善は見られ、景気回復を織り込みつつ個別の材料に反応

 朝方発表された新規失業保険申請件数は予想を下回り雇用の改善が見られたことから堅調な始まりとなりました。ただ、債券相場は買戻しもあって長期金利の上昇は一服となったものの、長期金利の上昇を気にする動きや欧州の金融不安を懸念する動きも見られ、また、好業績期待が強かった銘柄などが慎重な見通しを示したことで手仕舞い売りに押されるなど、冴えない展開となりました。景気回復期待もあるのですが、まだまだドル安や金融緩和の効果が大きいということで、長期金利の上昇などに敏感に反応してしまう面もあるものと思います。

 欧州金融不安も依然としてくすぶって、早めに手仕舞い売りが出るような雰囲気ですが、商品相場は底堅い堅調な展開となっており、信用収縮の動きは見られず、基調は強含みと思われます。ドル安や金融緩和の効果で景気が回復しているとの認識が強く、個人消費や雇用の改善がはっきりとするまではドル高や金利上昇を嫌気するような動きは見られるものと思われます。クリスマス商戦の動向などを見極めたいという向きも多いと思われます。

 個別にはデュポンが2011年の業績見通しが予想の範囲内ということや特許料収入の減少見通しが嫌気されて売られ軟調となりました。AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)が公的資金の返済に向けた計画を正式に発表して大幅高となり、連れてバンク・オブ・アメリカも大幅高、JPモルガン・チェースも堅調と、欧州金融不安がくすぶる中で金融株が総じて堅調となりました。アップルやIBM、インテルといったハイテク銘柄は手仕舞い売りに押されて軟調となり、金や原油の先物価格が反発となり、ニューモント・マイニングは軟調となりましたが、パブリック・ゴールドやエクソン・モービル、シェブロンといった金鉱株や石油株は高く、投資判断の引き上げのあったホーム・デポは堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高や円安を好感して買い先行となりました。外国人も引き続き買い越し基調と伝えられ、堅調な地合いではあったのですが「騰落レシオ」が歴史的な高値圏にあり目先的な過熱感が強いこともあり、先駆したものは利益確定売りに押されるものも多かったのですが、出遅れ感が強い銘柄などが買われ、指数は堅調となりました。SQ(特別清算指数)算出に絡む持ち高調整の売り買いも見られたようですが、方向感はないものの最後まで値持ちの良い展開となりました。

 米国市場は方向感に乏しい展開となりましたが、円高となったことが嫌気されて上値の重い軟調な展開となりそうです。SQ(特別清算指数)算出に関しては若干売り越しではないかと見られていますが、目先筋が買い向かう動きなどもあるものと思われ、大きな影響はないものと思います。ただ、目先的な過熱感も強く、週末ということもあって、手仕舞い売りが嵩む可能性も高く、少なくとも上値は重いと思われます。先駆した輸出株などは利益確定売りなどに押されるものと思われ、出遅れ感が強い銘柄、特に為替の影響の少ないような銘柄が物色されれば底堅い展開となるのでしょう。

 10200円〜300円水準の上値を試す動きが続いていますが、一気に抜けきれないと過熱感も強いことから上値の重さが気になって来るものと思います。今度は10200円〜300円水準を大きく下回ることがないかどうか、10200円水準を下回る、あるいは意識するところではしっかりと買いが入って来るのかどうかを見極める動きとなって来そうです。10300円水準を意識する、あるい上回るような場面では達成感が出るような感じで上値も重くなるものと思います。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.