コラム
» 2010年12月10日 08時00分 UPDATE

プロジェクト情勢は変わる、目先のことに鈍感になれ!

プロジェクトの情勢は、良くなったり悪くなったり刻々と変化するものである。しかし、いったん悪くなると、営業担当やクライアントのお偉方といった普段目にしない関係者がゾロゾロ出てきて、プロマネが吊るし上げられる。こんな危機を乗り切っていく秘けつは何だろうか?

[赤秀有為,INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!

著者プロフィール:赤秀有為(あかひで・ゆい)

エフィジェント株式会社代表取締役、プロジェクトマネージャー。「管理だけではない。推進、コンサルタント役としても機能する」をコンセプトに、ITプロジェクトマネジメントサービスを提供している。


 プロジェクトマネージャー(以下、プロマネ)に対するイメージは、「責任感があって、困難なことに対しても何が何でも最後までやり遂げる」といったカッコ良いイメージが一般的かもしれない。ただ、実際にプロマネをされている方は、「多大なる苦労の割に報われないなあ」という気持ちが実情ではないだろうか。分かりやすい言葉に置き換えると、“ハイリスク・ローリターン”なお仕事ということだ。

 プロジェクトが上手くいっている時は、誰も何も言わない。賞賛の言葉もない。上手くいって当たり前ということである。

 ただ、プロジェクトとは、たいてい情勢が良くなったり悪くなったり刻々と変化するものである。特に、数年に渡る長期プロジェクトではそれが顕著である。

 悪い情勢になると、営業担当やら (クライアント側含め)お偉方やら、普段目にしない関係者がゾロゾロと出てきて、プロマネが吊るし上げられる。正しいプロセスを踏んでいたとしても、結果責任を問う非難の嵐で、もうサンドバッグ状態。おまけにプロジェクトに関係ない「人の不幸は蜜の味」的な野次馬まで参加する始末である。

 責任感の強いプロマネはたいてい、非難に対して敏感である。(必要以上に激しい)非難の嵐を真正面から真摯(しんし)に重く受け止める。すると、非難というストレスがボディブローのように効いてきて、どこかで心が折れてしまうのである。

 プロマネの心が折れてしまったら、プロジェクトは操縦不能である。クライアントからの要求を無条件に受け入れて目標を達成できない、信頼関係を失う、非難の嵐にあう、というバッドサイクルに陥ってしまうのである。この蟻地獄にはまると、なかなかはい出すのは困難だ。クライアント含め、プロジェクト関係者にとって、これはまったくうれしくない悲惨な状態である。

鈍感力が大事

 ひと昔前に「鈍感力」という言葉が流行った。Yahoo!辞書によると、鈍感力の解説は以下の通り。

作家・渡辺淳一の著書『鈍感力』(集英社)によって流行語となったことば。従来は相手の心を重んじる繊細な心ということが社会的に要求され、逆に相手の心を考えないで行動するような鈍感な心は社会から排除されると思われていた。しかし渡辺はそれを否定して、「鈍感さ」を正面に押し出している。小さなことにあくせくしないで、ゆったりと生きているほうが集団の中で最後に勝ち残ることができるというのである。2007年2月、前総理大臣の小泉純一郎が官房長官・塩崎恭久と自民党幹事長・中川秀直に対して、「目先のことに鈍感になれ、鈍感力が大事である。支持率が上がったり下がったりするのをいちいち気にかけるな」と述べたことが新聞各紙に報じられ、注目された。

 政治家は上がったり下がったりする支持率でさまざまな関係者から批判や非難を受ける。プロマネも、刻々と変わるプロジェクト情勢に応じて、同様に批判や非難を受ける。すなわち、政治家もプロマネも、情勢に応じて関係者から批判や非難を受ける立場であるという点では相通ずるものがある(もちろん、各々の立場や状況で受けるストレス度合いは計り知れないが……)。

 政治の世界で使われた小泉さんの「鈍感力が大事」は、プロジェクトマネジメント業を遂行する上でも参考とすべき言葉ではないだろうか。特に現代のプロジェクトは、より短期かつ、より高品質が求められており、その分プロマネへのストレスは高まっていると考えられる。こんな厳しいプロジェクトを乗り切っていく秘訣は、鈍感力なのかもしれない。(赤秀有為)

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