米国株高や出遅れ銘柄を物色する動きも見られて堅調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年12月09日 15時59分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
前のページへ 1|2       

明日の相場雑感

 米国市場は堅調、海外市場では為替も円安となり買い先行となったのですが、じりじりと円高が進んだことや目先的な過熱感が強いことから手仕舞い売りも嵩んで上値の重い展開となりました。外国人も引き続き買い越し基調ということで、売り急ぐ動きはなかったのですが、SQ(特別清算指数)算出を前に、早め早めに利益確定売りや手仕舞い売りも出たものと思われます。日経平均も6月の戻り高値水準を抜けて達成感が出たことも売り要因となったものと思います。

 毎年この時期になると「来年の相場はどうですか?」というような質問をされますが、毎年同じように「来年こそは!」という予想になってしまうことが多いのではないかと思います。どのような企業でも将来的に収益が減少していくようなことを考えている企業はないわけで、少なくとも企業業績などから大きくかけ離れて相場が買われているようなことがない限り、「来年は安いです」とは言い難いと思います。本日の相場のように短期的には「目先的な過熱感が強いので調整となるのでしょう」ということはいえるのでしょうが・・・。

 また、毎年のように「干支」の話も出てきますがこれももちろん統計的な「遊び」も含めて「うさぎ年は高い」とか言うことはありますが、本気で「○○年だから」ということはないと思います。もちろん周期的な意味合いでちょうど24年前のうさぎ年=1987年が「プラザ合意」から2年後の「過剰流動性相場」のピーク、となったように、今回も金融不況から2年後の「過剰流動性相場」を期待してもいいのでしょうし、12年前のうさぎ年=1999年は「不良債券に絡んでの金融機関の倒産が相次いでから2年後」の1998年から始まった「ITバブル」=一種の「過剰流動性相場」のピークと見事に一致することはあるでしょう。

 ただ、そうは言っても過去の相場、特に大きな流れで見た場合には税制や金融制度の違い、派生商品の有無などで相場の性質が大きく変わっているということも頭に入れなければならないでしょう。ITバブルでも「インターネット」と言う新しいインフラが登場したことによるものとも考えられますし、その時代時代の投資手法なども変わっているものと思います。今年に入って「アローヘッド」と言う新しいシステムも導入され、これも相場を変える要因ともなり得るのでしょうし、さまざまな変動要因を考えながら予想する必要があるということでしょう。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.