コラム
» 2010年12月09日 08時00分 UPDATE

郷好文の“うふふ”マーケティング:“細胞まで生かせる”冷凍技術、CASの秘密に迫ってきた (1/3)

冷凍食品でも、解凍した時に生の風味を維持できるようになるという技術「CAS」。その技術を開発した株式会社アビーの大和田哲男さんに、その実用性や応用の可能性について聞いてみた。

[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷好文(ごうよしふみ)

マーケティング・リサーチ、新規事業の開発、海外駐在を経て、1999年〜2008年までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略など多数のプロジェクトに参画。2009年9月、株式会社ことばを設立。著書に『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など。他の連載は印刷業界誌『プリバリ[印]』で「マーケティング価値校」、メルマガ「ビジスパ」で「ことばのデザイナーのマーケティングレシピ」。中小企業診断士。アンサー・コンサルティングLLPパートナー。ブログ「マーケティング・ブレイン」(コンサル業)、「cotoba」(執筆業)。Twitterアカウントは@Yoshifumi_Go


 「おせちの伊勢海老と大トロの細胞が生きているんです!」

 大丸のおせちWeb通販試食会から帰ってきたフードアナリストの相棒cherryさんが興奮して言う。「採りたての食材で作ったのならそうだろう」と思ったのだが、何と冷凍食品なのだという。

ah_IMG1066S.jpg cherryさんが食べてきた伊勢海老と大トロ

 「冷凍だなんて信じられない。脂がのっていて、うまみが全然逃げていない。特に伊勢海老は大絶賛です」

 彼女の舌には舌を巻く私なので、その味はタダ物ではないとピンときた。何かワケがあるんじゃないの?

 「あります。スーパーのマグロの切り身、赤い血みたいなのが出ていますよね。でも、あれはうまみ。そのうまみを逃がさないCAS(Cell Alive System=細胞生存システム)という冷凍技術を使っているんです」

 彼女の言葉に好奇心を刺激された私は、冷凍保存の現場を訪ねることにした。

冷凍食品に感動する

 「このシークヮーサー、匂ってみてください」

 株式会社アビーの研究員、藤原隆司さんがCASで急速冷凍した食品を見せてくれた。

ah_DSC07603S.jpgah_DSC07602S.jpg 冷凍されたシークヮーサー(左)、さまざまな食品を冷凍している(右)

 沖縄特産の柑橘類シークヮーサー、冷凍されてカチンカチンなのに、甘酸っぱい新鮮な匂いがする。色が鮮やかなにんにくの芽。切断された脚部の血肉が鮮やかなホールチキン。生の色をとどめている生牡蠣。10年前から保存しているコシヒカリのあでやかさ。冷凍食品がうまそうなのに感動してしまった。

 「しゃぶしゃぶって灰汁(あく)が出ますよね。あれは冷凍肉だから出るんです。高級しゃぶしゃぶ店で灰汁が出ないのは、肉が冷凍ではないからです。ところが、CAS保存の肉からも出ないんです」

 灰汁知らずの肉を知らずに恥ずかしさで顔を赤らめた私だが、藤原さんが次々と見せてくれた冷凍食品は、国内外の食品メーカーや産地からの委託品。CAS技術でマイナス40度で保存して、風味や食感、うまみをテストしているのだ。

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