金融緩和継続、ドル安政策継続期待が強まり堅調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年12月07日 08時47分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>11382.09△19.68

<NASDAQ>2591.46△12.11

<NY為替>82.53▼1.27

予想を下回る雇用統計だが金融緩和継続、ドル安政策継続期待が強まり堅調

 注目された11月の雇用統計は予想を下回った雇用者数の伸びとなったことや失業率が悪化したことから軟調となる場面もありました。ただ、ISM非製造業景況感指数は予想通りだが、新規受注や雇用が改善したことから、売り急ぐ動きはなく逆にヘッジ売りの買い戻しなどもあり堅調となりました。雇用統計も前月分の雇用者数の伸びが上方修正されたことで、回復トレンドに変化はないとの見方もあり、また雇用の回復、特に失業率が高止まりとなっていることから、ドル安政策や金融緩和が継続されるとの安心感もあり堅調となりました。

 ドル安政策や金融緩和が継続されるとの見方から商品相場なども堅調となり、株式市場や商品市場への潤沢な資金供給が期待されて、総じて堅調となりました。雇用情勢も決して悪いものではなく、期待が大きすぎた面もあり、失望感を誘う場面もありましたが、景気拡大政策、雇用対策期待も根強いということなのでしょう。今後も個人消費や雇用など米国内儒の拡大が見られるのかどうかが注目されることになるのでしょうが、インフレ懸念や金融緩和の「出口戦略」が取りざたされるまで、堅調な地合いは続きそうです。当面はクリスマス商戦の動向などに反応することになるのでしょう。

 個別には金融緩和期待やドル安を好感してキャタピラーやアルコア、GE(ゼネラル・エレクトリック)など景気敏感株やIBM、インテルなどのハイテク銘柄は堅調、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど銀行株は金融緩和期待や欧州金融不安が薄れたことから堅調となりました。商品相場が堅調ということで、パブリック・ゴールドなど金鉱株が堅調、エクソン・モービルは利益確定売りに押されましたが、シェブロンは高くなりました。一方で、投資判断の引き下げが伝えられたイーベイやクーポン共同購入サービス会社に出資したと発表したアマゾン・ドット・コムなど消費関連銘柄に軟調なものが目立ちました。

本日の相場

日経平均

 先週末の日本市場は米国など海外株高を受けて買い先行となったものの、週末の手仕舞い売りもあって上げ幅を縮小、手仕舞い売りに押されて上値の重い展開となりました。それでも下値を売り叩くような動きも、売り急ぐ動きもなく、単に目先的な過熱感が強いことで、手仕舞い売りが嵩んだものと思われます。米雇用統計の発表を控えて手仕舞いを急ぐ向きもあったものと思います。

 週末の米国市場は堅調となりましたが、為替が円高に振れたことから日本市場は上値の重い展開となりそうです。目先的な過熱感もあり、さらに円高が進むようであれば、軟調となる場面もありそうです。円高が進まないとの見方が強まっていたことから業績上振れ期待が高まり、輸出株などは買われていたのでしょうが、再度円高懸念も出ていったんは押し目を試すように利益確定売りなどがかさむ可能性もありそうです。加えて米国と韓国のFTA(自由貿易協定)が合意したことも輸出企業、特に自動車や電機メーカーへの影響が懸念されます。

 目先的な過熱感を冷ますようにいったん押し目を試す動きとなってきそうです。節目と見られる10200円〜300円を抜けるにはもう少し時間がかかるということで、今度は下値の節目である9800円〜900円水準まで下落となるのか、10000円を意識する水準でのそこ堅さを確認しながら、10200円を超える、あるいは意識すると売られるというような展開で日柄調整となるのでしょう。いずれにしても10200円〜300円水準を抜けるにはもう少し材料が必要、時間が必要ということでしょう。

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