コラム
» 2010年12月06日 09時54分 UPDATE

藤田正美の時事日想:フラフラの民主党が、財政再建を実現できるのか (1/2)

なぜ民主党は財政再建に取り組むことに尻込みをしているのだろうか。民主党には労働組合という利益団体がバックにいる。そういった組織の既存利益を守ろうとする限り、有効な施策を打ち出すことはできないだろう。

[藤田正美,Business Media 誠]

著者プロフィール:藤田正美

「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”


 野田財務大臣は来年度予算のうち国債発行で賄(まかな)う分をなんとか今年度の44兆円を下回るようにしたいと語った。小泉政権のとき、国債発行額を30兆円以下に抑えると首相が明言し、それを守れなくなったときに民主党は厳しく追及したものである。そのとき小泉首相は、「約束を守れなくてもたいしたことじゃない」と国会で答弁した。その答弁は決してほめられたものではないが、そのころに比べると財源のために発行される新規債はほとんど5割増となっている。

 民主党は財源は無駄遣いを減らせばすぐに出てくると主張していた。今ではそれがまったくの的外れだったことが明白になっている。しかし菅首相を始め自分たちの主張が崩れていることを認めないために、来年度予算ではいよいよつじつま合わせが厳しくなっている。

危機感がない民主党

 子供手当も2011年度から満額支給としていたのに、3歳未満に限って月7000円の増額。それでも財源とされる2500億円のメドは立っていない。基礎年金の国庫負担50%を維持するために必要な財源2兆5000億円のメドも立たず、将来の年金支払いの原資である年金特別会計の積立金を取り崩すという案すら出てきた。強い経済にするために絶対に必要だとしてきた法人減税も5%引き下げるという当初の案は実現が危ぶまれている。

 昨年の予算は自民党の麻生政権の基本方針に則った予算だったという「言い訳」が可能だったが、今年は民主党の基本方針の下に組まれる予算だ。その意味では、今年の予算で国民に明白なメッセージを伝えられなければ、民主党という政党の“鼎の軽重”(かなえのけいちょう:権威ある人の能力を疑い、その地位から落とそうとすること)が問われることになるはずだが、民主党内にはどうもその危機感はあまりないようだ。

 2010年5月に成立した英国の連立政権(保守党と自由民主党)は、財政再建を打ち出している。オズボーン財務相は、NHS(国民保険サービス)に関する支出を除いて25%の歳出カットという方針を打ち出した。消費税の増税ももちろん入っている。もともと総選挙で財政危機に対して歳出カットと増税という方針を国民を訴えて勝ったのだから、当然といえば当然だが、この大胆さには目を見張るばかりだ。もちろん英国の景気がいいわけではないから、財政支出のカットは景気に悪影響を与えるという議論もある。

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