学習塾業界が“異種格闘技戦”になっている(3/3 ページ)

» 2010年12月03日 08時00分 公開
[今野篤,INSIGHT NOW!]
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4.教材会社からの参戦

 この戦いで、大変面白い位置にいるのが教材会社だ。それは今後、デジタル教材の普及に伴い、良質な教材(コンテンツ)が引っ張りだこになる可能性を秘めているからだ。

 Z会の増進会出版社は、栄光やウィザスの株式取得を始め、市進ホールディングスや学究社、進学会、英進館と業務提携を結んでいる。

5.IT系からの参戦

 ここでは2系統の動きがある。その1つが映像教材や映像授業だ。ITインフラの向上と2009年に起きたパンデミックで、映像系はすっかり市民権を得た。すでに映像教材や授業を導入している、もしくは導入を予定している教室も多いことだろう。

 もう1つは電子教科書である。2010年は電子書籍元年と言われるように、国をあげて2015年に電子教科書を導入することが騒がれている。

 この2つの動きは、いよいよ教育でもITが無視できないばかりか、主要パーツに成り上がろうとしていることを示唆(しさ)している。今後ITは、塾と教材(コンテンツ)をつなぐ接着剤のような役割になってくるのではないだろうか。

6.外資からの参戦

 市場規模1兆円強(『学習塾白書 2010-2011』調べ)、大手でも売上高数百億円の学習塾業界だが、収益率はどの業界の中でもトップクラスだ。投資を目的とした外資が関心を示しても、何ら不思議ではない。実際に「塾ビジネスの動向に興味がある」とは、中堅規模外資企業の幹部の弁。

学習塾業界にも競争原理

 学習塾がサービス業に属する以上、市場には競争原理が働く。まして市場が寡占化しているなら、その戦いは激化する。それは自動車業界を始め、百貨店や航空、家電、飲料、出版など、あらゆる業界で起きていることであり、学習塾業界でもそれが現実になろうとしている。

 学習塾業界は次の覇権取りをかけた戦いに入っており、その際に技術革新や社会情勢の変化が新市場を形成するカギとなるのだろう。確かに塾には教育という特殊性は残るものの、一ビジネスとして捉えるならば、今起こっていることもこれから起こることも必然なのかもしれない。(今野篤)

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