コラム
» 2010年11月25日 08時00分 UPDATE

相場英雄の時事日想:こんな記者はいらない。“とんでもない新人”あれこれ (1/2)

メディア不況に揺れるマスコミだが、依然として記者職の人気は高い。狭き門をくぐりに抜けているので、優秀な者は多いが、その一方で“とんでもない新人”がいることも。今回の時事日想は“こんな記者はいらない”事例を紹介しよう。

[相場英雄,Business Media 誠]

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『株価操縦』(ダイヤモンド社)、『偽装通貨』(東京書籍)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo


 11月上旬から大学3年生の就職活動が本格スタートした。Business Media 誠読者の中にも、企業の説明会に足しげく通っている向きがいるのではないだろうか。

 「記者クラブ問題」「官房機密費問題」などで最近批判を浴びる機会が多いマスコミ業界だが、依然として記者、あるいは編集者などの職種を目指す向きは多いはず。今回の時事日想では、かつて取材現場で新人教育担当を経験した筆者が、いくつかの就活ノウハウに触れてみる。

とんでも新人あれこれ

 最初にお断わりしておくが、筆者は1989年に社会人となった典型的なバブル入社組だ。「超」が付くほどの就職難の現状、足を棒にして企業回りしている学生諸君には頭の下がる思いだ。

 筆者がサラリーマン記者時代も何度か就職氷河期があり、その間には優秀な新人が入社した。一方、“とんでも新人”が多数いたことも事実。まずは、とんでも記者にまつわるエピソードを紹介したい。

 1つ目の特徴は「高学歴アピール型」だ。就職難の最中、相当な倍率を勝ち抜いてきた人材の多くが、国立、私立の超難関校を優秀な成績で卒業し、取材現場に配属された。が、そのうちの何割かに、誰から聞かれるでもなく、自ら積極的に出身学部、ゼミ、果ては中高一貫のエリート学校の名を告げる輩が存在した。中には、進学塾での成績を披露した人物がいたことも鮮明に記憶している。しかもこれは1人や2人ではなかったのだ。

 専門学校卒で、現場記者の手書き原稿をテキスト化する専門職を経て、人不足を補うために記者職に就いたというオマケのような軌跡をたどった筆者と違い、彼らが学業優秀だったことは周知の事実。だが、初対面の同僚、あるいは取材対象者にこれをやられると非常にまずい。平たく言えば「ドン引き」されてしまうのだ。

 こうした輩には、社内外に学業優秀だった人材が多数存在すること、役所のノンキャリアの方々への取材では、逆に相当にネガティブな印象を強く植え付けてしまうことなどを、口を酸っぱくして説いた次第だ。もちろんマスコミ企業の中には、秘かに大学を指定して記者職(編集職)の人材を採用する企業は存在する。だが人と接し、ネタを引いてくるのが商売だけに、キャラクター、すなわち人物そのものを吟味・精査されることをキモに銘ずるべきだ。高学歴をアピールするのではなく、自身のキャラクター、持ち味を前面に出すことをお勧めする。

 2つ目は、選民意識の強い新人君が存外に多かったこと。業界全体に“選ばれた人間”だと勘違いする鼻持ちならない輩が多いのは事実だが、先輩記者や取材対象者のウケは良い一方で、取材先の事務スタッフや秘書さん、あるいは社用ハイヤーの運転手さんに対して“上から目線”で物を言う輩が実に多かったのだ。

 記者という仕事柄、こうした評判は常に筆者の耳に届いていた。他の同僚、取材先にもこうした悪評は確実に伝播していた。思い当たるフシがある向きは、今から注意すべし。「井戸端会議のウラを取ってナンボの卑しい商売が記者だ」。筆者はこうした新人たちにこう強調してきた。マスコミを志望するにあたり、“上から目線”は絶対に禁物だ。

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