海外市場が大幅安となった割には底堅い展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(1/2 ページ)

» 2010年11月24日 16時21分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

市況概況

日経平均 10030.11円 ▼85.08円
売買高 21億2129万株
日経平均先物 10040円 ▼80円
売買代金 1兆4204億円
TOPIX 866.57 ▼8.91
値上がり銘柄 399銘柄
東証マザーズ指数 384.13 △1.41
値下がり銘柄 1142銘柄
日経ジャスダック平均 1182.78円 △2.84円
変わらず 119銘柄
騰落レシオ 104.75% ▼7.74%

日経平均

海外市場が大幅安となった割には底堅い展開

 日本市場が休場の間に米国株が大幅下落となるなど、欧州金融不安や北朝鮮の砲撃など悪材料が多く見られ、売り先行、大幅安の始まりとなりました。ユーロ安を嫌気するような動きもあったのですが、対米ドルでは円高が進まなかったこともあり、寄り付きからの売りが一巡となった後は底堅さも見られ、ユーロが落ち着いた動きとなったことや北朝鮮の砲撃止まっていることから底堅い展開となりました。ただ、目先的な過熱感が強かったことや外国人売買動向(市場筋推計、外資系10社ベース)が売り越しと伝えられたこともあって戻りも限定的となりました。

 後場も底堅い展開は続き、日経平均は10000円台での動きは続いたのですが、戻りも鈍く、底堅さは見られるものの方向感のない上値の重い展開となりました。それでも海外株式の下落に比べると、好材料に素直に反応する銘柄も見られ、堅調な地合いとなっており、持高調整の買戻しも見られるようで特に材料がないような銘柄にも堅調なものが散見されました。結局最後まで方向感はありませんでしたが、日経平均10000円の心理的な節目はしっかりと保って引けました。

 小型銘柄も売り急ぐ動きはなく、底堅い堅調なものが見られました。海外株安の要因となった欧州金融不安や「地政学リスク」の影響が少ない銘柄も多く、買戻しや押し目買いが見られ東証マザーズ指数、日経ジャスダック平均は堅調となりました。朝方はまとまった売り買いも見られましたが、寄り付きからの売り買いが一巡となったあとは方向感のない相場展開の中で小口の目先的な売買が中心となっていたようで、指数を方向付けるような動きはありませんでした。

 米国株などが大幅下落となったことで、一時はどうなることかと思いましたが、持高調整の買戻しなども見られ、米ドルが買われたことで、円高懸念も薄れて底堅い展開となりました。日本株の出遅れ感もあり、ヘッジファンドなどの売りも少ないようです。逆にこれまでの流れと反対の動きで米国株が安く、日本株が底堅いということになっています。米国はいったん休日モードとなって来るので、クリスマス商戦の動向を見るまでは手仕舞いの売り買いが中心となって来るものと思います。その間、日本市場も動きは鈍くなるのでしょうが、売られ過ぎの修正や目先的な過熱感を冷ますような「調整局面」となって来るのではないかと思います。

テクニカル分析

日経平均

NYダウ

 RSIもストキャスティックスも高値圏からの調整を示しており、調整となりそうですが、とりあえず転換線にサポートされた格好で底堅さが見られます。基準線や移動平均線との乖離も大きく、調整は続くものと思われますが、転換線にサポートされながら日柄調整となるか、一気に基準線のサポートを確認するような値幅の調整となるものと思います。

TOPIX

NYダウ

 戻り高値を付けたところから調整となりましたが、転換線にサポートされて底堅さが見られます。ただ、RSIやストキャスティックスは高値圏からの調整を示唆しており、基準線や移動平均線との乖離も大きく調整となりそうです。このまま転換線にサポートされながら底堅い展開で日柄調整となるか、一気に基準線のサポートを確かめるような値幅の調整となるのでしょう。

円相場

NYダウ

 雲の下落に合わせるように軟調な展開となっています。RSIもストキャスティックスも高値圏からの下落となており、雲を一気に抜けて来るというよりは雲の中での調整が続くと見ても良いと思います。雲の下限を割り込んで大きく円高になるというよりはあくまでも押し目を試すような展開で底堅く、一方で上値も重いと言うことになりそうです。

銘柄ピックアップ

「リスク」を見直す動きで総じて軟調

ソニー(6758) 2871 ▼61

 欧州銀行の格下げなどからユーロが売られ、ユーロ安の影響が大きな銘柄とされることから、収益懸念から売られました。株価も戻り歩調となっていたこともあり、手仕舞い売りも嵩んだものと思います。

日産自(7201) 787 ▼17

 ロシア政府系の自動車最大手に出資する方針を固めたと新聞で報じられ、成長市場であるロシア市場に積極的であることを評価する声はあるものの、地合いの悪さや円高懸念から売られ、軟調となりました。

モスフード(8153) 1483 ▼9

 休日前に」株主優待制度を拡充すると発表したことから、ニュースを好感する動きから個人投資家と見られる小口の買いが散発的に見られ、結局軟調とはなったものの地合いの悪い中で、堅調となる場面もありました。

双  日(2768) 168 △14

 レアアース(希土類)の豪州の鉱山の権益を獲得することで、現地の民間企業と大筋合意に達したと新聞で報じられ、今回の権益獲得が正式合意すれば日本の年間需要の3割弱に相当する量を数年間に分かって確保できる見通しと報じられたことから、好感する買いが入り大幅高となりました。

ヤマトHD(9064) 1070 ▼48

 対苦杯便の売上高は伸びているものの、労働時間短縮のため外注費が急増し2011年3月期の連結営業利益は会社計画を下回るとして、外資系証券が投資判断と目標株価を引き下げたことが嫌気されて売られ大幅安となりました。

東 芝(6502) 422 ▼7

 レアアースを使わずにモーター用磁石を作る技術を開発したと新聞で報じられましたが、特に好感する買いも見られず、地合いの悪さに押されて軟調となりました。

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