前日の大幅下落の反動で底堅い堅調な展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年11月18日 08時44分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>11007.88▼15.62

<NASDAQ>2476.01△6.17

<為替:NY終値>83.18-83.24

芳しくない住宅指標の発表も前日の大幅下落の反動で底堅い堅調な展開

 前日に引き続き中国の金融引き締め懸念や欧州金融不安がくすぶるなかで、朝方発表された消費者物価指数は芳しくなく、国内需要の弱さを示し、住宅着工件数や建設許可件数も予想を下回り、売り先行となりました。ただ、前日の大幅下落の反動や小売り企業の好調な決算発表などもあって、底堅い堅調な展開となりました。追加の金融緩和に対しては各国から牽制されてはいるものの、個人消費の回復が見られないと更なる追加緩和もあるのではないかとの期待もあり、底堅さが見られたものと思います。

 ここのところの経済指標も強弱感が対立する格好となっていますが、個人消費などに堅調なものが見られ、小売業の決算や一部の企業の業績見通しに明るさが見られることから、景気回復を織り込むような強含みの基調は変わらないものと思います。これまで大きく上昇してきたことで、11月はヘッジファンドの決算月、12月もファンドの決算などが多いというようなこともあって、手仕舞い売りも出ているものと思います。商品相場なども「ドルキャリー取引」の解消(巻き戻し)やファンドの手仕舞い売りに押されているという面も強く、そろそろ底堅さを確認するところだと思います。

 個別には好調な決算を発表したターゲットが大幅高、JCペニーやメーシーズなど百貨店株も買われました。住宅指標が予想を下回ったことから、KBホームやホーム・デポなど住宅関連銘柄が軟調、FRB(連邦準備理事会)が大手19行に資本計画の提出を要求、増配と自社か部会の指針も発表したことが嫌気されてJPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカ、シティグループなど銀行株が軒並み軟調となりました。新興国の景気拡大一服懸念やファンド筋の手仕舞売り、ドル安一服もあって、インテルは小幅高となったもののIBMやアップル、グーグルなどハイテク銘柄も軟調となるものが多く見られました。一方で、金先物価格は軟調ですがパブリック・ゴールドなど金鉱株が高く、同様に原油先物価格は軟調ですが、エクソン・モービルも高く、キャタピラーやフォード・モーターなど景気敏感銘柄にも高いものが見られました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株安などから売り先行となったものの、円安を好感する動きから堅調となり、小幅高となりました。海外株式の上昇に比べ、日本株に出遅れ感、割安感があることや円高を想定して慎重な業績と見られていた企業業績の上振れが期待されることから、買い戻し、買い直しが入り堅調となりました。

 米国市場は前日の大幅下落の反動もあって底堅さは見られましたが、冴えない展開となり、商品相場なども引き続き軟調となるものが多く、ファンド筋の手仕舞いの動きが続いているようです。日本市場は引き続きこれまで買われていなかった分、売られることもなく、逆に輸出銘柄などには買い戻しも期待され、底堅い堅調な展開が期待されます。ただ、ドルの買戻しも一巡した感もあり、為替が円高に振れるようであれば、ここへ来て反発となった輸出株などには利益確定売りや手仕舞い売りも出てくるものと思います。逆に、商品相場の下落もそろそろ一段落となって来るような雰囲気になれば、商社株や非鉄株なども反発してくるのでしょう。

 日経平均は引き続き9500円〜600円水準を下値、9800円〜900円水準を上値としたもみ合いの中での動きと見ておいて良いと思います。9900円を超えて10000円と言う心理的な節目を目指すには円安傾向が継続する、あるいは円安傾向にあることで慎重な見通しとなっていた企業業績などの上振れ期待が高まる必要があると思います。もう一段の円安となる、つまり、米国個人消費の更なる好転=クリスマス商戦が好調であることや新興国経済の拡大が再度確認されると日経平均も次の節目である10200円〜300円水準を目指すことになるのでしょう。

本日の注目点

◇20年物国債〔11月債〕入札

◇4−9月期決算:T&D

◇11月のフィラデルフィア連銀景気指数

◇10月の米景気先行指標総合指数

◇プロッサー・フィラデルフィア連銀総裁講演

◇欧州中央銀行(ECB)理事会

◇7−9月の台湾域内総生産(GDP)

◇フィリピン中銀の金融政策決定会合

◇海外8−10月期決算:デル

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