コラム
» 2010年11月18日 08時00分 UPDATE

郷好文の“うふふ”マーケティング:中国を苦手にするニッポン。その理由は“分かろう”としないから (1/3)

先日、中国企業との経営統合を発表した日本のPR会社ビルコム。大企業でも中国でのマーケティングには苦戦している中での大胆な決断だが、この背景には何があるのだろうか。ビルコムCEOの太田滋氏にその理由を聞いてみた。

[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

マーケティング・リサーチ、新規事業の開発、海外駐在を経て、1999年〜2008年までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略など多数のプロジェクトに参画。2009年9月、株式会社ことばを設立。12月、異能のコンサルティング集団アンサー・コンサルティングLLPの設立とともに参画。コンサルタント・エッセイストの仕事に加えて、クリエイター支援・創作品販売の「utte(うって)」に携わる。著書に『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など、印刷業界誌『プリバリ[印]』で「マーケティング価値校」を連載中。中小企業診断士。ブログ「マーケティング・ブレイン」(コンサル業)、「cotoba」(執筆業)。Twitterアカウントは@Yoshifumi_Go


 私たちは、中国の何を分かっているのだろうか?

 ここ数週間の国益や外交に関する報道に接すると、分かり合っていないのは明らかである。いや、深層にある“分かろうとしない心情”が、騒動に拍車をかけた要因ではないだろうか。

 そう思うのは、マーケティングでも私たちは中国を分かっていないことを見てきたからだ。アキバに観光バスで乗りつけて、家電をまとめ買いするのを冷ややかに眺める。銀座の目抜き通りを縦横無尽に歩く姿をうらやむ。

 その購買行動を「お金があるからね」で片付け、「中国って独特だからな」と例外扱いして納得する。企業レベルでもいまだに特別視をして、手痛い失敗を食らっている。商品もサービスも世界レベルの日本、なぜ中国が苦手なのだろうか。

 そんなことを考えていた時、日本で起業した事業を「中国企業と経営統合する」戦略を打ち出した経営者がいると耳にした。彼はどんな視点を持って中国に進出しようとしているのか、話を聞くことにした。

中国市場では“インサイト”が大切

 11月4日に発表されたプレスリリースには「デジタルエージェンシーのビルコムは、中国のインタラクティブエージェンシー上海億目広告有限公司(上海、英文会社名:Shanghai YMG China)と2011年4月をメドに経営統合」とある。

 ビルコムは企業のPRを代行する会社で、特にブログやTwitter、iPadアプリなどを通じたデジタルコミュニケーション分野に強みを持つ。しかし、企業の黒子であるはずのB2B支援業が、なぜ先陣を切って中国に進出するのか? なぜ業務提携を越えた経営統合まで踏み込むのか?

ah_biru1.jpg PR会社ビルコムの太田滋CEO

 「3つ理由があります。1つ目は中国と日本では生活者のインサイトが大きく違うこと。2つ目はメディアの環境、特にソーシャルメディアの環境が日本と中国ではまったく違うこと。3つ目は双方の経営者の目指すビジョンが一緒だったことです。この3つが重なりました」とビルコムの太田滋CEOは言う。

 生活者のインサイトとは“消費生活の実態”。一般論を思い返してみても、日中両国はずいぶん違う。中国人は家族や地縁・血縁コミュニティへの帰属意識が強い。メンツを重視し、所有物は成功の証である一方、模造品や粗悪品が多いため商品(商売)への不信感は強い。また国土が広いので、北京は積極消費型、上海はトレンド型、広州は実利型とエリア特性もある。

 一方、日本人は仕事第一でコミュニティは第二。メンツよりもプライド、所有物や消費を自己表現と考える。インサイド(内側)からインサイト(洞察)しないとダメなのが分かる。

ah_biru3.jpg 新聞雑誌記事をもとにしたビルコムの分析
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