中国金融引き締め懸念も根強く軟調清水洋介の「日々是相場」夕刊(1/2 ページ)

» 2010年11月16日 16時01分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

市況概況

日経平均 9797.10円 ▼30.41円
売買高 18億3007万株
日経平均先物 9780円 ▼40円
売買代金 1兆3613億円
TOPIX 847.77 ▼3.79
値上がり銘柄 431銘柄
東証マザーズ指数 365.38 ▼3.20
値下がり銘柄 1044銘柄
日経ジャスダック平均 1160.82円 ▼0.18円
変わらず 176銘柄
騰落レシオ 88.27% ▼0.21%

日経平均

円安が止まると手仕舞い売りも嵩み、中国金融引き締め懸念も根強く軟調

 米国市場は方向感のない展開となったのですが、円安となったことが好感されて買い先行となりました。ただ、寄り付きの買いが一巡した後は外国人売買動向(市場筋推計、外資系10社ベース)が若干売り越しと伝えられたことや節目と見られる9900円水準をつけたことでの達成感もあり、手仕舞い売りが嵩んで軟調となりました。いったん上値の重さが確認されると、円高気味となったこともあって、方向感のない軟調な展開が続きました。

 後場も中国での物価統制の話題などもあり、買い気の乏しい展開の中で手仕舞い売りも嵩み一段安となる場面もありました。それでも、9800円水準を割り込むところでは売り急ぐ動きもなく底堅い展開となり、円高気味となっても下げ渋り、底堅さを確認して堅調となりました。円高気味ではあるものの、円高が進むという懸念が薄れたことで、好業績ながらも慎重な見通しを発表した銘柄などの業績上振れも期待されたものと思います。

 小型銘柄は買い気の乏しい中で手仕舞い売りや見切り売りに押されて軟調なものが多く、東証マザーズ指数が軟調、日経ジャスダック平均は売り飽き気分も強く底堅い展開で小幅安となりました。先物は朝方はまとまた売り買いが見られたほか、後場になって散発的にまとまった売り買いが見られましたが、前場、後場の寄り付き以外は指数を方向付けるような動きは見られませんでした。相変わらず目先筋の小口の売買が中心となっていたようです。

 円安、と言うか円高懸念が薄れたことに対する反応は今ひとつ鈍いような感じです。まだ円高懸念が払拭しきれていないということなのでしょうが、米国の金融緩和の規模縮小などが取り沙汰されている割には円安に振れないことも懸念材料となっているのでしょう。ただ、少なくとも7−9月期に続き、多くの輸出企業が10−12月期、来年の1−3月期は更に円高が進む、と言うことで業績に対し慎重な見方となっており、少なくとも1ドル=80円を割り込む可能性がかなり少なくなっているのですから、業績上振れ期待も出てくるのではないかと思います。

テクニカル分析

日経平均

NYダウ

 堅調となったことで、「三川」からの急落は免れました。遅行線が日々線にサポートされた格好ですが、遅行線が絡む日々線が下落となっていることや、まだ日々線も基準線や移動平均線からの乖離もあり、RSIには上値余地もあるのですが、ストキャスティックスは高値圏からの調整となっており、いったんは遅行線が日々線にサポートされるような場面がまだ見られるものと思います。

TOPIX

NYダウ

 堅調な地合いとなっています。遅行線が日々線にサポートされており、底堅さは見られるものと思います。ただ、RSIには上値余地もあるのですが、ストキャスティックスは高値圏からの調整となっており、遅行線が日々線にサポートされながら調整となるか、日々線が転換線のサポートを確認するような調整も見られるのではないかと思います。

円相場

NYダウ

 雲を意識するところまで上昇となりました。遅行線が日々線を抜けて、底入れ感は強まったものと思います。ただ、RSIには上値余地はあるものの、ストキャスティックスは高値圏にあり、いったん雲に上値を押さえられ、遅行線が日々線のサポートを確認しながらの調整となりそうです。雲が薄いところでもあり、一気に雲を抜けて来る可能性もあり、ここ2〜3日の動きが注目されます。

銘柄ピックアップ

円安を好感する動きも限定的

三菱UFJ(8306) 391 ±0

 昨日の引け後に2010年4−9月期の連結決算を発表、純利益が前年同期比2.5倍となり、2011年3月期連結純利益予想も前期比29%増と従来予想を大きく上回り、上振れ余地も大きいとの見方もあったのですが、好感する動きも限られ、手仕舞い売りに押されて冴えない展開となりました。

高島屋(8233) 671 ▼6

 主力の衣料品で、商品企画、素材調達から生産・販売までを一貫して手掛ける製造小売業(SPA)に進出すると新聞でほうじられましたが、特に材料視されることもなく、買い先行となったものの利益確定売りに押されて軟調となりました。

エルピーダ(6665) 884 △13

 台湾取引所に上場し、調達資金はM&A(合併・買収)に充当すると新聞で報じられ、台湾DRAMメーカーとの協業体制からの業容拡大が期待されて買われ堅調となりました。

マスプロ(6749) 650 ▼113

 昨日の引け後にデンソー(6902)との資本提携を解消すると発表、デンソーが保有する株(発行済み株式の7.2%)すべてを売却、銀行保有株の売却も懸念されることから、需給悪化を懸念した売りが嵩み、大幅安となりました。

トヨタ(7203) 3155 △15

 特に材料が出たわけでもないのですが、為替が円安となったことから、収益上振れ期待が高まり、堅調となりました。買戻しを急ぐ動きもあり、株価を押し上げた面もあるものと思います。

ニトリHD( 9843) 7080 ▼ 70

 円安を好感する銘柄が多いなかで、円安を嫌気した売りに押されました。円高での輸入コスト減から低価格戦略をとっているだけに、円安による採算悪化が懸念され、手仕舞い売りを急ぐ展開となりました。

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