光の滴が落ちるかのよう、カナダから幻想的な照明「ボッチ」(2/2 ページ)

» 2010年11月16日 07時50分 公開
[本間美紀,エキサイトイズム]
エキサイトイズム
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――こちらの2重構造のシェードの照明は、どんな製品なのでしょうか?

 「28」は2重構造のガラスシェードで、吹きガラスの技術をつかっています。熱と空気、2つの要素を生かしました。製造中のガラスが溶けて蜂蜜みたいになる。温度の下がり方が早いと割れてします。その隙をねらって、厚いガラスを落とします。熱いままのガラスを吸い出すとへこむ。どんな形になるかは分りません。けれどもそれで生じる「ゆがみ」が、デザインです。透明の吹きガラスがカラーガラスの玉を覆うようになる。何個かのシェードを花束のように、リングでまとめることもできて、また違った印象になります。

エキサイトイズム 「28」5万7750円(シェード1個)〜231万円(シェード37個)

――手作業の要素が多いようですが、クラフトとは違うものなのですね。

 これらの照明は、クラフトとインダストリアルの両方の要素を持ち合わせています。シェードの部分は物理的な現象によって起こる材料の自然な動きや、手仕事の味わいを残していますが、電源ソケットなど部品の部分は、合理的な工業製品としてデザインしています。

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――例えばどんなパーツですか?

 この照明のつり方はシャンデリアのようですが、特殊なフックでもっと簡単につれるようにあります。シャンデリアはこれまで本当に設置が大変でした。けれどもシャンデリアのような効果をもっと簡単に手に入れることができるのです。もちろん光源も差し込み式で、簡単にLEDに変えることができます。こういった点を合理化することで、本当に日常に使える製品になるのです。ただ美しいだけではないのです。

エキサイトイズム 2010年のミラノサローネでの展示

――しっかりと使えることが大切なのですね。

 最初の哲学に戻りますが、ものは長く使えるものでなければいけません。モダンと手仕事の要素を持ち合わせれば、流行に左右されない。品質がしっかりしていれば“間に合わせ”のものではなくなる。受け継がれていくような製品は、環境にも貢献すると思います。

 アーベル氏はバンクーバーオリンピックのメダルのデザインを手がけたことでも知られる。オルカや自然をイメージした絵柄を覚えている人もいるのではないだろうか? 照明はホテルや公共の空間はもちろんだが、1つだけつるしても十分なインパクト。シェードが1つのタイプなら、4〜5万円台で購入可能。家庭でも吹き抜けや階段の踊り場などでドラマチックな効果が期待できそうだ。

お問い合わせ:スタジオ ノイ 03-5789-0420


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