フリスクがミンティアのシェアを奪っているコンビニ、ヒット商品の理由(2/2 ページ)

» 2010年11月16日 08時00分 公開
[笠井清志,Business Media 誠]
前のページへ 1|2       

フリスクがミンティアのシェアを奪っている理由

 では、この成長市場における2大ブランドのシェアはどうなっているのか? 2010年10月のあるコンビニチェーン(複数)のデータを見ると、ミンティア63%に対してフリスク37%と、ミンティアが優勢です。

2009年10月と2010年10月における、ミンティアとフリスクの販売個数シェア

 しかし、2009年10月(ミンティア73%、フリスク27%)と比較すると、フリスクがミンティアのシェアを奪っていることが分かります。この理由として、筆者は2つの要因があると考えます。

1.フリスクの方がヒットした新商品(新フレーバー)が多かった

 1年前と比較したラインアップを見ると、フリスクは1種類増の8種類、ミンティアは4種類減の10種類となっています。

 発売されている種類はたくさんあるのですが、コンビニの売れ筋上位にランクインしている商品を数えると、フリスクが優位となっています。新たに上位にランクインした商品を見ても、「フリスク ピンクグレープフルーツ」「フリスク オレンジミント」「ミンティア ブルーベリーヨーグルト」とフリスクが優勢です。特に「フリスク ピンクグレープフルーツ」の販売が好調なのが、フリスク躍進の要因だと考えられます。

2.コンビニが販売価格を重視した売り場展開を行っている

 売り手(コンビニ)としては、より売り上げが増やせる商品を重視した販売戦略をとりたいため、ミンティアよりもフリスクの拡販を重視した棚割りを意識します。

 そうなる背景には、清涼錠菓では一度に複数個を購入する人が少ないことがあります。「2個購入で●●円引き」などの販促施策を実行しても、顧客の購買行動を変化させることは難しい。そのため、売り手は販売金額が増やせる商品を重視するようになるのです。先ほど書いた通り、フリスク210円に対してミンティアは105円と値段は半額。販売金額でのシェアを見ると、フリスクはミンティアを抜いていることが分かります。

2010年10月における、ミンティアとフリスクの販売金額シェア

 また、一般消費者への商品認知度を高めるには、テレビCMが有効となります。筆者の個人的な視聴時間の問題かもしれないので根拠には含めませんが、フリスクはミンティアより継続的にテレビCMを放映しているように思います。

新規参入はあるか

 今後も成長が見込まれる清涼錠菓ですが、フリスクとミンティアの戦いはどのように推移するのか。そして、同時に注目されるのは新規参入があるかどうか。ロッテやグリコあたりが、参入してこないものでしょうか。

著者プロフィール:笠井清志

船井総合研究所シニアコンサルタント。複数企業でキャリアを磨き、船井総合研究所の経営コンサルタントとして従事する。コンビニ本部等の多店舗展開チェーン企業へのコンサルティングを中心に活動。クライアント先である「NEWDAYS」の平均日販を日本一に押し上げたことが話題になる。月刊コンビニ(商業界)で連載を持つほか、著書に『コンビニのしくみ』(同文館出版)や『よくわかるこれからのスーパーバイザー』(どちらも同文館出版)がある。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.