円安を好感して大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年11月15日 16時14分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 週末の米国株は軟調、商品相場も大きく下落するものが多かったのですが、日本市場は先週末の大幅下落がある程度織り込まれていたことや、ユーロの落ち着きなどもあって、為替が総じて円安に振れたことが好感されて買い先行となりました。7−9月期GDP(国内総生産)も予想を上回ったことから、慎重な決算発表をしている企業も為替さえ落ち着けば上振れ期待もあるとして買い直され、堅調となりました。

 大きく円高となるような状況でも日本企業の海外企業の買収の話題もあまり多くありません。「投資」そのものを手控えていることもあるのでしょうが、いざ、「買収」と言うような話題になると最近の相場ではすぐに「増資懸念」と言うことで売られてしまうことが多いようです。本日も日本のブレーキメーカーが独自動車部品大手のブレーキ事業を買収すると発表したことで売られる場面が見られるなど、何か企業が投資をしようとする時に増資を嫌気する動きが強いような感じです。

 もちろん、これだけ金利が低くなっているところであれば、「借り入れ」と言う手もあるのでしょうが、企業が上場している一つの大きな目的である「資金調達」を否定するような動きはあまりよくないのではないかと思います。増資というと株主価値の希薄化ばかりが言われますが、本来株式会社は資金調達をして投資をし、そのリターンを得るというのが「仕事」であるはずです。それを、「株主のため」と称してコスト削減をして株主価値を高めてもあくまでも目先の利益に追われるだけで、本来の株式投資とは違うのではないかと思います。

 いつもこのコラムで目先的な売買ばかりで相場が崩れていると言うことを言っていますが、上場企業も目先の利益ばかりを追求して将来の投資を評価するような動きになっていないのではないかと思います。株主価値を高めるということが、目先の利益を上げることではなく、将来に渡って継続的に収益が上がり続けるように、走り続けることなのではないかと思います。デフレが続いているので、右肩上がりの成長は見込み難いのでしょうが、右肩上がりの成長のためであれば、場合によっては「増資」も善しとするような雰囲気にならないといけないのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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