週末の手仕舞い売りや信用収縮懸念から売りが嵩んで軟調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年11月15日 08時42分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>11192.58▼90.52

<NASDAQ>2518.21 ▼ 37.31

<為替:NY終値>82.52-82.58

週末の手仕舞い売りや信用収縮懸念から売りが嵩んで軟調

 中国の金融引き締め懸念や欧州金融不安から信用収縮懸念が想起され週末の手仕舞い売りもあって軟調、ナスダック指数は大幅安となりました。中国の金融引き締め懸念や新興国を中心とした資金流入規制などを嫌気して、いったん過熱気味となったリスク資産を手仕舞う動きとなりました。高金利通貨や金や原油の先物、穀物など商品相場が軒並み大きな下落となり、一気にリスク許容度が低下、投機的な資金を引き上げるような動きとなりました。

 実体経済の部分では新興国経済の拡大はまだまだ続いており、過熱気味の資金の流れが落ち着けば、再度経済の拡大を織り込むような資金の流れも見られると思われます。米国でもインフレ懸念が出ていたことで、FRB(連邦準備理事会)の米国債買い入れが行われたにもかかわらず金利は上昇、FRBの思惑とは反対にリスク資産を手仕舞う動きから株式市場、商品市場、為替市場は波乱の週末となりました。週が明けて、中国の金融引き締めの影響も一部の土地などの投機に止まると確認されれば、世界的な景気拡大を織り込むように、再度堅調な展開となるものと思います。

 個別には商品相場の下落を受けて、アルコアやモンサントなどの素材株が軟調、エクソン・モービルなどの石油株、ニューモント・マイニングなどの金鉱株も売られました。景気回復への影響も懸念されてキャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)などの景気敏感銘柄も安く、欧州金融不安は薄れたものの、信用収縮懸念もあってJPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど金融株も軟調となりました。IBMやアップルといったハイテク銘柄も軟調となったのですが、インテルは増配を発表したことが好感されて買われ、堅調となりました。決算発表が芳しくなかったJCペニーが下落、DRほートンも大幅安となり、好調な決算となったウォルト・ディズニーは大幅高となりました。

本日の相場

日経平均

 先週末の日本市場は米国株安やユーロ安などを嫌気して売り先行となりました。週末の持高調整の売り買いの中で、大幅安ながらも小動きとなっていたのですが、後場に入って、中国をはじめ新興国での資金流入規制なども見られ、信用収縮のような動きで売り急ぐ展開となり、下げ幅を拡大、大幅安となりました。為替懸念に、週末の手仕舞い売りが嵩んで大きな下げとなったものと思います。

 先週末の米国市場は軟調となったのですが、為替が円安に振れたことや日本市場では先取りして売られていた面もあり、底堅い堅調な展開が期待されます。週末のAPECでは特に手がかりとなるようなものは見られませんでしたが、週末に売られすぎたものの反動も期待され、好決算銘柄などを中心に堅調な地合いとなりそうです。円高が懸念されて業績の上方修正を躊躇った企業なども、この水準で為替動向が落ち着いてくれば上振れ期待も出てくるのでしょう。一方、商品相場などが大幅下落となったことで、商社株や非鉄株は手仕舞い売りも続くものと思います。

 日経平均は先週末の下落で、9800円〜900円水準の節目を確認した格好となり、今度は9500円〜600円水準での押し目を確認する動きも出そうで、9500円〜600円水準が下値、9800円〜900円が上値と言う水準での推移となりそうです。本日は先週末の大幅下落の反動や円安を好感して底堅さは見られるのでしょうが、9800円水準では上値も重くなるものと思います。軟調となる場面でも9600円台では売り急ぐ動きもなく、底堅い展開となりそうです。

本日の注目点

◇7−9月期GDP(国内総生産)速報値(内閣府)

◇10月の首都圏・近畿圏のマンション市場動向(不動産経済研究所)

◇10月の米小売売上高

◇9月の米企業在庫

◇9月期決算:学研HD(9470)、日本農薬(4997)

◇4−9月期決算:三菱UFJ(8306)

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